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イベリス
第百二十七話 告白その三

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「そこに土も入れて」
「そちらもですね」
「それでお水も」
 これもというのだ。
「あげて下さい」
「お花が健康である様に」
「そしてずっと生きられる様に」 
 近藤に渡そうと思いつつ言うのだった。
「して下さい」
「そうですか、それじゃあ」
「お願いします」
 強く言って店員にそうしてもらってだった。
 咲はヒヤシンスも買った、ハンバーガーとお握りは鞄の中に入れて背負う様にして持って両手でヒヤシンスを持って。
 ベルトも買って交番に向かった、そこまで一気に休まず言ったが。
「あっ・・・・・」
「じゃあ今度の休みね」
「はい、横浜ですね」
 近藤が交番の前に立っていた、そして。
 一人の彼より若いしかも奇麗な婦人警官と話していた、それもだった。
 実に楽し気だった、その会話がしっかりと耳に入った。
「行くんですね」
「一緒にね。横浜スタジアム行って」
「野球観て」
「横浜対阪神ね」
「その後は」
「中華街に行って」 
 そちらにというのだ。
「一緒にね」
「デートですね」
「どうかな」
「お願いします」
 これが返事だった。
「それじゃあ」
「いいよね」
「はい、実はです」
 婦警は彼に言った。
「横浜にです」
「行きたかったんだ」
「先輩に誘ってもらって」
 それでというのだ。
「凄くです」
「嬉しいかな」
「はい」
 笑顔での変人だった。
「二人で行けますから」
「そうか、じゃあな」
「二人きりで、ですね」
「最高の思い出にしような」
「そうしましょう、それに」
 婦警はこうも言った、笑顔のままだった。
「今度先輩にプレゼントしますね」
「何をかな」
「ベルトに」
 それにと言うのだった。
「ヒヤシンスも」
「ああ、俺が好きだから」
「今度プレゼントしますね」
「じゃあ俺はブローチプレゼントするよ」
 近藤は近藤で言った。
「そうするよ」
「ブローチですか」
「美玖ちゃん好きだよね」
「はい、大好きです」
「そうだよね、それでね」
 距離は近かった、その距離は誰が見てもわかるものだった。だがそれでも二人は構わず話をしていた。
「中華街の後は」
「それからは」
「今度二人で暮らす部屋の話しようか」
「あっ、いいですね」 
 婦警の顔がこれまで以上に明るくなった、そのうえでの返事だった。
「実はいい物件見付けたんです」
「そうなんだ」
「はい、杉並区に」
 東京のこの区にというのだ。
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