第四幕その三
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「君達は三つ共だよ」
「備えているんだね」
「勇気、優しさ、知恵を」
「全部持っているんだ」
「だから君達は今まで多くのことが出来てね」
このオズの国でというのだ。
「沢山の人を助けられたんだ」
「成程ね」
「そうだったんだね」
「僕達に備わっているものは一つでないから」
「そうだよ、ただやっぱり勇気は臆病ライオン君で」
こちらは彼が一番強く持っているというのです。
「知恵はかかし君、優しさは樵君だね」
「そうね、それぞれ一番強く持っているわね」
ドロシーもその通りだと答えます、この娘は腹ペコタイガーの背中に乗せてもらっていてそのうえで動物園を視て回っています。
「皆は」
「そうだね」
「それぞれ強く持っているけれど」
「一番強く持っているのはね」
「臆病ライオンは勇気でね」
「かかし君は知恵、樵君は優しさだね」
「そうね、この三つは全部ある程度備えていないと」
「どれも発揮されないものだね」
「そうね、優しさがないと知恵も勇気もなくて」
「知恵がないとね」
「優しさも勇気もなくて」
そうしてというのです。
「勇気がないと」
「知恵も優しさもないよ」
「残る二つも発揮されないわね」
「三つ全部あってこそだよ」
「一番いいものも発揮されるのね」
「そうだね、私もそのことがわかったのは」
それはといいますと。
「オズの国に戻って来て」
「それからなのね」
「わかったよ」
そうだというのです。
「それからよ」
「オズの国に戻って」
「あらためてね」
「大切なものがわかったのね」
「そうなんだ」
実際にというのです。
「私もね」
「オズの国はたくさんのことがわかる国でもあるから」
「素晴らしいものにいつも沢山触れられるからね」
だからだというのです。
「本当にね」
「わかるのよね」
「何かと素晴らしいことがね」
「それは何よりね」
「全くだよ」
「ううん、そんなこと考えなかったよ」
臆病ライオンは二人のお話を聞いて言いました。
「僕はね」
「そうなのね」
「僕は自分が勇気があるとは思っていなかったし」
こうドロシーにお話します。
「そしてね」
「知恵や優しさもなの」
「あるとはね」
「自分で思ってなくてもよ」
ドロシーはその臆病ライオンに微笑んで答えました。
「貴方も皆もね」
「三つ共持っているんだ」
「そうなのよ、だからね」
それでというのです。
「貴方も勇気をよ」
「発揮しているんだ」
「そうよ、そして勇気を発揮すれば」
臆病ライオンがというのです。
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