【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第6節】その後のジークリンデとルーテシア。
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手も無事よ。肋骨も何本か折れていて、腹部を開いて見たら、ドス黒い腫瘍が見つかったからそれも切除したという話だけど、術後の経過は順調だそうよ。あの様子なら、年が明ける頃には、もう退院できるんじゃないかしら」
「あの様子って……なんや、ヴィクターは実際に会うて来たんか?」
「ええ。実は、つい先日、私も選手会の代表としてお見舞いに行って来たのだけれど……あなたのお父さんが以前から『機会があれば一度、娘に代わって謝罪しておきたい』と言っていたから、良い機会だと思って一緒に来てもらったのよ」
「ああ……。お父はんにまで、また迷惑かけてもうたか」
「あれだけやっておいて、かけずに済む訳が無いじゃないの……」
ヴィクトーリアも、さすがに呆れ顔でした。
「やっぱり、彼女の毒舌が私のお父はんにも炸裂してもうたんか?」
ジークリンデは父親の身を案じて、随分と心配そうな声を上げましたが、ヴィクトーリアの返答は意外なものでした。
「それが、ねえ……。全員そろって首を傾げるような、不思議な出来事なのだけれど……彼女はいきなり別人に生まれ変わっていたのよ」
「はあァ?」
これには、ジークリンデも、思わず間の抜けた声を上げてしまいます。
「そもそも、彼女は、自分があの時、あなたから何をされたのかを全く覚えていなかったの。人間は普通、経験の内容が『記憶として』脳内に定着するまで、最大で十数秒ほども時間がかかるのだけれど、そのせいで、全く予想外にいきなり意識が途切れると、その直前の経験が記憶に残らないというのも、よくあることらしいの。
その上、医者も『脳にそれほどの衝撃を受けた形跡は見られないし、原因は見当もつかない』と言っていたのだけれど、どういう訳か、性格まで一変してしまっていて……。
本人は今、とても落ち着いた口調で、『自分は今まで数多くの人々に罵詈雑言を投げつけ、傷つけて来ました。これからは、この罪を贖うために、残りの生涯を費やしたいと思います』なんて殊勝なことを言っているのよ」
「残りって! 何や、彼女、寿命が短かったんか?(吃驚)」
「いいえ。医者に言わせると、『平均寿命ぐらいは余裕の健康体』だそうよ」
「ええ……」
「彼女は、あなたのお父さんにも自分の側から『複雑な家庭の事情があると知った上で、その傷口に塩を塗り込むようなことを言いました。本当に申し訳ありませんでした』と涙ながらに謝罪してくれたわ」
「それは……何と言うか、もうホンマに別人なんやね……。しかし、何故そんなことに?」
「古代社会なら『悪い憑き物が落ちた』で説明が済んでしまう話なんでしょうけど……医学的には、本当に説明がつかないみたいね。腹部のドス黒い腫瘍(しゅ
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