【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第6節】その後のジークリンデとルーテシア。
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ドアから、入れば、閲覧用のブースに、行けます。特定の個人のプライバシーや、特秘事項に関しては、データは閲覧できません」
「解りました」
ジークリンデがそう言って、担当者が指差したドアの前まで行き、通行証を所定の位置にかざすと、普通にドアが開きました。真っ直ぐに伸びた通路の両脇には、全く同じ形のブースがずらりと並んでいます。
ジークリンデは、そのうちの一つを適当に選んで、そのブースに入りました。
(何や、めっちゃ簡単やな。セキュリティとか、ホンマに大丈夫なんか?)
他人事ながら、ジークリンデはちょっと心配になってしまいました。逆に言えば、「誰に見せても大丈夫なレベル」の公開情報しか出て来ないのでしょう。
それでも、ジークリンデにとって、これは大きな前進でした。
彼女は8歳の時に「エレミアの力」に目覚めて以来、長らく自分自身を呪って生きて来ました。
何百年も前から受け継がれて来たその力は「何故か」完全な女系遺伝で、事実上の「長女による一子相伝」でした。先祖代々、母から娘へ、娘からそのまた娘へと受け継がれて来たのです。
それなのに、彼女を教え導くべき母親は、その時すでに死んでいました。母親のそのまた母親もすでに死んでおり、彼女に「エレミアの力」の使い方を正しく教えられる人間は、この世にはもう一人も生き残っていなかったのです。
おそらくは、エレミアの一族の歴史の中でも、このような珍事は初めてのことだったでしょう。何しろ、エレミアは、基本的に病気にもかからないし、通常の対人攻撃で殺すこともできません。つまり、寿命以外の理由では滅多に死なないのです。
ジークリンデが3歳の時から彼女を育ててくれた養父は、彼女自身は実父と信じて育ったのですが、実際には彼女の大叔父(母方祖母の年の離れた弟)でした。その妻である養母が「ラグレイト家」の親類縁者であったことは、彼女にとって、せめてもの幸運だったと言って良いでしょう。
彼女が「エレミアの力」に目覚め、養父母がついに匙を投げた後、彼女はその縁でエドガーの祖父母に引き取られ、後に、強すぎる力という「同じ悩み」を持ったヴィクトーリアと出逢い、さらには、「人生の師」とも呼ぶべきエリアスと出逢い……14歳になった頃には、彼女はようやく常人並みの「自己肯定感」を持って、心理的にも「独り立ち」できるようになっていました。
それから、IMCSにも出場して、多くの有力選手から賞賛を受け……今にして思えば、昨年にはもう「人生の次のステージ」に進む心の準備は出来ていたのかも知れません。だからこそ、今こうして「母親の問題」にも改めて取り組める心境になっているのです。
(今までずっと、私はホンマに、自分のことだけで手一杯やったからなあ。……私(ウチ
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