暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
 【第6節】その後のジークリンデとルーテシア。
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の言葉を述べると、ファビアはすかさず、こんな茶々を入れます。
「そう言えば、ちっちゃくなって、『お姫様だっこ』とかも、されてましたよね」
「いや。念のために言うとくけど、それ、全部、クロにゃんのせいやからね」
「言われてみれば、そうでしたかねえ」
 ファビアは、まったく他人事(ひとごと)のような口調でその話題を流しました。その一方で、ルーテシアにはこんな念話を入れます。
《ところで、ルー(ねえ)。これって、(あと)から、容疑者逃亡の幇助(ほうじょ)で罪に問われたりしませんよね?》
《まあ、その時は、その時よ。》
 この三人の共通点は、ひとつには、こうした「遵法(じゅんぽう)精神のユルさ」でした。確かに、これでは、三人とも「通常の」管理局員など務まりはしないでしょう。

 そして、三人はその足で、次元港に付属する「管理局の転送施設」へ行き、嘱託魔導師の身分で転送ポートの利用を申請しました。
 ジークリンデには、こうした「手続きの仕方」が全く解っていなかったので、料金の話を抜きにしても大助かりです。
 ルーテシアは規定どおりの料金を払い、三人は「即時移動」で一気に〈管14シガルディス〉の新首都ヴォグニスへと移動しました。
 実は、この時点で、まだ「空中乱打事件」の発生から一時間も経ってはいません。
 もしも、ジークリンデがヴィクトーリアを振り切って姿を消した後、IMCSの運営が即座に彼女を「容疑者」として陸士隊に通報していたとしても、これほどの素早さなら、おそらく、陸士隊はジークリンデを見つけて任意で同行を求めることなど、できてはいなかったでしょう。

【実際には、IMCSの運営陣は完全に「観客の不安や混乱を(しず)め、都市本戦二日目の残りの試合をこのまま予定どおりに続行すること」に全精力を()ぎ込んでいたため、ヴィクトーリアが少し脚色して『彼女は沈んだ表情のまま、「しばらく一人にしてほしい」と言って帰ってしまった』と報告を入れてからも、何時間もの間、その件を放置していました。
『午後になって、カマルザが搬送された病院の側から「一命は取り留めました。できれば加害者からも事情を聴取したいのですが」と言われて、ようやくジークリンデの姿を探し始める』という(てい)たらくです。
 管理局の転送施設の記録から、『ジークリンデはあれからすぐに、二人の嘱託魔導師とともに、シガルディスに飛んだ』と解った時には、すでにいろいろなことが手遅れになっていました。その世界はDSAAには加盟していなかったので、あくまでも「民間団体」であるDSAAには、それ以上は、もうどうすることもできなかったのです。】

 まず、ルーテシアは局の施設内で、「予備のカード」の「利用者の変更の手続き」を取り、その上で、そのカードを気前よくジークリンデに進呈し
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