【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第6節】その後のジークリンデとルーテシア。
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だけやし……最初の2回は、まだクラッシュ・エミュレートも有効やったし……一般人ならともかく、都市本戦にまで出て来るような競技選手やったら、いくら何でも、あの程度で死にはせんやろ」
「本当に?」
「肋骨は何本かイッとるやろうけど、戦技披露会の時のなのはさんみたいな器用な折り方はしとらんし……血反吐を吐いとったから内臓も傷んどるやろうけど、イマドキの医学やったら、あれぐらいはどうとでもなるやろ。……ルーやん、あんまり脅さんどいてや」
そこで、数秒前からデバイスを操作していたファビアが、冷静に報告を入れます。
「速報によると、カマルザ選手は、無事、病院に搬送されたそうです」
(果たして、それを「無事」と呼んでしまっても良いのかしら?)
ルーテシアは、そう思いながらも、もうあまり深くは突っ込まないことにしました。
「ちなみに、第三試合は、先程、ミカヤ選手の圧勝に終わったそうです」
「今年は、まあ、ヴィクターでなければ、ミカさんやろうなあ」
ジークリンデも冷静な口調で、かなり正確な予測をしました。
「ところで、結局のところ、あなたはこれからどうしたいの?」
「できれば、すぐにでもシガルディスへ行きたいんやけどな。手持ちのお金が無いんよ」
「どうしてシガルディスなのか、訊いても良いかしら?」
「実は、14年前の9月に、シガルディスの上空で次元航行船が爆発事故を起こしたことがあって、私の、実のお母はんとそのまた実のお母はんが、その事故で死んどるんよ。
それで……自分でも、今さらそんな昔の話を蒸し返すのはどうかとは思うんやけどな。何と言うか、やっぱり、どうにも納得が行かんのや。だから、一度ぐらいは自分の目で当時の資料とかにも当たってみたいんよ」
ジークリンデがやや悲しげにそう言うのを聞いて、ルーテシアは無条件で、彼女に手を貸してあげることにしました。
実は、ルーテシアとファビアも、今回はルーテシアの母方祖母である「リーファ」という人物の素性を調べ直すために、ここミッドに来ていたのです。
そんなルーテシアにとって、ジークリンデの「母親や祖母に対する気持ち」は、いささかながらも「親近感の湧くもの」でした。
「そう言えば、あなた、嘱託魔導師の資格、取ったのよね。今、身分証は持ってる?」
「うん。と言うか、私、今、身分証以外には、何も持ってへんわ」
「それさえあれば、話は簡単よ。私たちの荷物はもうホテルに預けてあるし、私たちの用件は特に急ぐ話でも無いから……半日ほど、手を貸してあげるわ」
「ホンマに? 助かるわあ! ……去年の〈無限書庫〉での一件と言い、何や、私、ルーやんには助けられてばっかりやなあ」
ジークリンデが感謝
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