【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第6節】その後のジークリンデとルーテシア。
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さて、話はまた10月に遡りますが……。
あの「空中乱打事件」の直後、ジークリンデは後先を考えずに試合会場から飛び出してしまいましたが、今後の行動に関しては、実のところ、全くのノープランでした。
勢いで「中央次元港」の近くまで、何キロも駆けて来てしまってから、ジークリンデはようやく立ち止まりました。息を整え、改めてマントを着込み、フードも深くかぶり直してから、裏通りを抜けて表通りへと歩み出します。
幸い、まだ大々的に捜索が始まったりはしていない様子でした。
(今さら実家に戻っても、ただ家族に迷惑をかけるだけやろうし……。さて、どうしたものやろうなあ。シガルディスへ行こうにも、よぉ考えたら、私、お金なんて持ってへんし……。)
一応は、マントの内ポケットの中も探ってみましたが、やはり、ただ「嘱託魔導師の身分証」が放り込まれたままになっているだけでした。
(こんな時に、また「師匠」がひょっこり現れてくれたりすると、ホンマに助かるんやけどなあ。……さすがに、そこまで都合よくは行かんか……。)
ジークリンデは歩道のベンチに腰を下ろし、そんなことを考えながらも、思わず周囲に「誰かを探すような視線」を巡らせました。
もちろん、それで彼女の「師匠」が都合よく見つかったりはしなかったのですが……その代わりに、意外な二人組とバッチリ目が合ってしまいます。
それは、何と、ルーテシアとファビアでした。
「ルーやんとクロにゃん? 君ら、何故こんなトコにおるの?」
「それは、こちらのセリフよ。チャンピオン」
「よく似た別の誰かを見間違えているのかと思いましたよ」
二人は口々にそう言いながら、ジークリンデの左右に腰を下ろします。
「と言うか、今日って、都市本戦の二日目よね。どうして出場選手のあなたがこんな場所にいるのよ。……まさか、あなたほどの人が2回戦で早々と負けて来たなんてことは無いんでしょ?」
「いや。ごめんな、ルーやん。実は、ちょぉ反則をやらかしてもうたんよ」
「反則と言うと……具体的には、何をやらかしたんですか?」
ファビアに訊かれて、ジークリンデはありのままを答えました。すると、二人は思わず、揃って頭を抱えてしまいます。
「クロゼルグの記憶の中のヴィルフリッドは、もう少し冷静で温厚な人物だったはずですが……」
「ちょっ! クロにゃん。その比較は勘弁してや!」
「それと……まさかとは思うけど、相手の選手、死んだりしてないわよね? 傷害過失致死の上で現場から逃亡とか……結構、重罪になるわよ?」
ルーテシアから軽く脅されると、ジークリンデは一瞬、思わず目が泳いでしまいました。
「い、いや。3回殴って1回蹴った
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