【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第5節】同80年の10月以降の出来事。
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さて、今年も10月となり、IMCSでは例年どおり「都市本戦」が始まりました。
ミッドチルダでは、〈中央部〉と〈東半部〉と〈西半部〉で、ほぼ同じ日程で都市本戦が開催されます。
そして、ミッド中央では、一日目の試合はすべて順当に進んだのですが、二日目には「事件」が起きてしまいました。
二日目の第一試合(第1ブロックの2回戦)は、シード選手のハリーが普通に勝利しましたが、第二試合(第2ブロックの2回戦)では、シード選手のジークリンデがカマルザの「暴言」にいきなりキレてしまったのです。
観客たちには、一体何が起こったのか、とっさには理解することができませんでした。
具体的に何を言ったのかは聞こえませんでしたが、カマルザ選手が相手にかなり近い距離で何かを言ったように見えた次の瞬間、彼女の体はいきなり「ほぼ真上」へと吹っ飛ばされたのです。
ジークリンデは瞬時に間合いを詰めると、まずカマルザの足を軽く払って体勢を「前のめり」にさせた上で、極めて低い姿勢からの強烈なアッパーで彼女の腹部を打ち上げていました。もしも身体強化魔法が無ければ、拳が腹をブチ抜いて、そのまま背中へ突き抜けていたとしても不思議ではないほどの強打です。
この一撃によって、カマルザの体は「ほぼ真上」へと打ち上げられたのでした。
この時点で、すでにカマルザはほぼ意識が飛んでいます。
しかし、ジークリンデは素早く彼女の落下地点に移動すると、落ちて来た彼女の体を再び打ち上げました。カマルザはリングにダウンすることすら許されず、その体は再び宙を舞います。
そして、ジークリンデは、再び落ちて来たカマルザの体を三度、今度はねじり込むようにして打ち上げました。
いよいよ「クラッシュ・エミュレート・システム」の限界を超えて、カマルザの肉体が現実に破壊されます。肋骨のへし折れる嫌な音が響き、カマルザの体はぐるぐると回転しながら、スプリンクラーのように血反吐を周囲に撒き散らして行きました。
審判たちは、突然の凶行に思わず何秒か呆然と立ち尽くしてしまっていましたが、ここで慌ててジークリンデを止めに入りました。
しかし、ジークリンデは、決死の審判たちをも次々に投げ転がして、三度落ちて来たカマルザの体を、今度は強烈な回し蹴りで一気にリングの外へと蹴り出します。
カマルザは右半身から床に落ちて、そのまま昏倒しました。
「チャンピオン! どうして、こんなことを?」
「リングの上に立つ資格が無い者を、リングの外に放り出して何が悪いんや!」
ジークリンデは涙ながらに、そう叫びました。それでも、審判は命の危険も顧みず、職務に忠実にこう言ってのけます。
「資格の有無を決めるのは、我々審判の仕事です。選手の仕事ではあり
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