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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
 【第5節】同80年の10月以降の出来事。
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はい。私、こう見えても、まだ14歳ですので」
「えええええ!」
 これには、ヴィクトーリアとエドガーとコニィ自身を除いて、その場に居合わせた者たち全員が驚愕しました。

 以下は、その後の三人だけでの会話です。
「最初は全く意味が解りませんでしたが……もしかして、お嬢様は今日の状況まで見越した上で、私を昨年からずっとジークさんに張り付かせていたのですか?」
 その際に、コニィは同じようにジークリンデに張り付いている人物を見つけ、そこから辿(たど)って、彼女のことを調べている私立探偵に行き着いたのでした。
「こうなることまで正確に予想していた訳ではないけどね。まあ、これが『転ばぬ先の杖』というものよ」
「お嬢様は、恐ろしい人ですねえ……」
「いやいや、コニィ。お嬢様の恐ろしさは、まだまだここからですよ。(暗黒微笑)」
 そして、ヴィクトーリアはさらなる追い打ちとして、(ひそ)かに〈本局〉の「査察部」に所属する叔父ダミアンに連絡を入れたのでした。
『毒(権力)を以て毒(権力)を制する』とは、まさにこのことです。


 ジークリンデの起こした「空中乱打事件」は、その直後から、各種メディアでも大きく取り上げられていました。
 最初のうちは、「暴力への不寛容」という立場から、ジークリンデを非難する論調が目立っていたのですが、次第に「暴言への不寛容」という立場から、彼女に『一定の範囲内で』理解を示す論調が増えて行きます。
 そうした中で、ゼグルは『加害者のミッド不在』を理由に、この件を「非公開法廷」に持ち込みました。加害者不在のまま法廷を公開すると、その内容はしばしば弁護人も不在の「公開処刑」になってしまうので、『これは、むしろ加害者への温情だ』という態度を取って、法務官たちを裏で丸め込んだのです。

 こうして、10月の末には、首都クラナガン中央大法院・第九小法廷は、ジークリンデ被告がすでにミッド不在であるのを幸い、早くも彼女に対して「市民権?奪、ミッドチルダ永久追放処分」の判決を(くだ)しました。
 ゼグルにとっては、それなりに溜飲(りゅういん)の下がる判決となりましたが……後日、某陸士隊の部隊長でもあるゼグル・ドーラス二佐は、唐突に「別件で」起訴されました。
査察部のガサ入れによって機材業者との癒着(ゆちゃく)暴露(ばくろ)され、二佐からいきなり一尉に、二階級もの懲戒「降格」処分となります。
「嫌われ者」のカマルザも、年が明けてから肉体そのものは問題なく完治しましたが、退院と同時に、世の表舞台からは完全にその姿を消してしまったのでした。

 聖王教会の『他人(ひと)の不幸を(あざけ)ってはならない』という警句には、実は、続きがあります。それは『他人(ひと)の不幸を(あざけ)る者の上には、いつか必ずやその報(む
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