【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第5節】同80年の10月以降の出来事。
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、口に出してはこう言いました。
「そうだねえ。……百節棍を自分の周囲に広く環状に展開して、どちらから接近されても、物理的な『感触』で解るようにする、というのはどうだろう?」
理には適っていますが、その対策には、ひとつ大きな穴がありました。
「そのために百節棍を使ってしまうと、相手の居場所は解っても、こちらに攻撃の手段が残ってないんですけど?」
「彼女も『それほど得意ではない』幻術を披露したんだ。君も『それほど得意ではない』格闘術を披露してみたら、どうだ?」
ノーザの妙に明るい表情に、ザミュレイは思わず、声を荒らげます。
「私がこんなに困っているのに、どうして、あなたはそんなに嬉しそうなんですか?」
「いやあ。君は困った顔も、可愛いからねえ。(ニッコリ)」
(サドだ。……いや。前々から解ってはいたけど……この人の本質は、サドだ!)
ザミュレイは、もう泣き出したい気持ちでした。
しかし、よくよく考えれば、ザミュレイが先日の対ヴィクトーリア戦で、あのような戦い方をしたからこそ、ミカヤも『踏ん切りがついた』のです。
あえて厳しい言い方をするならば、これはザミュレイの「自業自得」でした。
午後の3位決定戦では、ハリーが辛くも、テラニスを微妙な判定で下しました。
そして、最後に決勝戦が行なわれましたが、ここでは、ミカヤは全く幻術を使わず、ごく普通にザミュレイをKOしました。ザミュレイは幻術を警戒するあまり、動きがいつもよりも随分と硬くなってしまっていたのです。
こうして、〈ミッド中央〉の都市本戦は、波乱のうちに終了したのでした。
そして、後日、IMCS運営会議の席に、ゼグル・ドーラス二佐が単身、乗り込んで来ました。
『子供のケンカに親が出る』という言葉をそのまま実行に移したような形ですが、娘のカマルザも『まだ当分は退院できそうにない』という状況なのですから、『これを「ケンカ」と呼んで済ます訳にはいかない』というのも、また一面の真理ではあります。
ゼグルは熱弁をふるって「加害者」への厳重処分を求めましたが、ヴィクトーリアは選手会代表として、それに抗議しました。
『カマルザ選手も純然たる「被害者」ではない』と主張して、集音マイクによる音声データから、リングの上でのカマルザの暴言を再現し、皆々に聞かせます。
その中には、「父なし子」とか、「売女の娘」といった、あからさまなNGワードも含まれていました。
そこで、ヴィクトーリアはゼグルに、こう詰め寄ります。
「これは、誰がどう聞いても、世の中のシングルマザーたち全員を敵に回すような、悪質な性差別発言ですが、その点に関してはどうお考えですか?」
「悲しい話だが、それらは世の中に幾らでも転がって
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