【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第5節】同80年の10月以降の出来事。
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順位は5位がヴィクトーリア、6位がアインハルト、7位がミウラ、8位がグラスロウと決まりました。
最終日の朝、準決勝の第一試合は、ザミュレイが武器の有利さを活かして、素手のテラニスを圧倒しました。
また、第二試合は、ハリーにとっては「四年前の初出場で、秒殺されて以来の」ミカヤとの再戦でした。ここは是非、自分の成長ぶりをミカヤにも認めてほしいところでしたが、ミカヤは死闘を避けるかのように、いよいよ盛り上がって来たところで唐突に「幻術」を初披露します。
「ハリーの視界の中では」ミカヤは正眼に構えたまま、ぴくりとも動かなくなってしまいました。
心の奥底では、野生の勘が激しく警鐘を鳴らしていましたが、今はポイントの上でも少し負けています。ここで徒に時間を潰したところで、得られるものは何も無いでしょう。
ハリーは意を決し、正面のミカヤに突っ込んで行きましたが、その瞬間に「その」ミカヤの姿は不意に消え去りました。同時に、思わぬ方向から突然の攻撃を受け、ハリーはあえなくKOされてしまいます。
観客の多くもハリーと同様に騙されていましたが、モニター越しにこれを観ていた人々の目には、ハリーたちに見えていたのとは全く別の光景が見えていました。
ミカヤが静かに相手の側面へと回り込んだ後、ハリーは何故か「先程までミカヤがいた場所」へ突っ込んで行ったのです。
ハリーは後でそれを知ると、思わず非難の声を上げました。
「ミカ姉さんがそんなコトをする人だとは思ってなかったよ!」
しかし、もちろん、これもルールの上では有効です。
「済まんな。私にも迷いはあったが、先日のザミュレイ選手の戦い方を見て、踏ん切りがついた。私も今年が最後だ。悪く思うな」
ミカヤは冷たくそう返しました。取材陣の驚き慌てた声に対しても、ごく冷静に『それほど得意ではないから、今まで使わずにいただけ』と答えます。
実は、ミカヤは、昨年の戦技披露会で「なのはの、一瞬の格闘戦」を観て以来、ずっとこの機会を窺っていたのでした。
特別観覧席(個室)でこれを観ていたザミュレイは、思わず大声を上げました。
「幻術とか! 聞いてないですよ!」
「タイプとしては、ごく単純なタイプの幻術だよ。多分、二〜三週間もあれば対策は可能だろうと思うが……あと二〜三時間では対策の立てようも無いな」
ノーザは苦笑しつつ、すでに諦めの表情です。
「いきなり投げないでくださいよ! 何か、即興でできる対策とか、無いんですか?」
(無い、と解っているから、このタイミングであの切り札を使ったんだろうな。……やれやれ。彼女がここまで勝利に貪欲だとは、想定外だった。)
ノーザは心の中ではそう考えながらも
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