【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第5節】同80年の10月以降の出来事。
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は)がします。
「今さらやけど、やっぱり、お母はんらの死に方が納得できん。個人的にちょぉ調べてみるわ。それから、先に謝っとくけど……」
「なぁに?」
「よぉ考えたら、ヴィクターは選手会の代表として、私をこの場に引き止めとかなアカン立場やろ? 取り押さえる努力はしたけど逃げられた、というコトにしといたってや」
「いや。そういう訳にも……」
それは、ヴィクトーリアですら全く反応できないほどの、完璧な不意打ちでした。ジークリンデは、相手の言葉の途中で、わずか半歩の距離からいきなり渾身の体当たりをかまします。
並みの格闘家が真似をしても、これほどの至近距離では大した威力は出ないでしょう。それは、ジークリンデがルーフェンで学んで来た、いわゆる「寸勁」の技法でした。
ヴィクトーリアの体は軽々と吹っ飛び、そのまま部屋の奥の壁に叩きつけられました。ジークリンデはすかさず、愛用の「フード付きマント」をつかみ取り、そのまま駆け出して行きます。
一瞬、意識が遠ざかるほどの強烈な衝撃でしたが、それでも、ヴィクトーリアはそれに耐えました。一拍おいて、ジークリンデの後を追います。
しかし、ヴィクトーリアが部屋の外へ駆け出した時には、すでにジークリンデの姿は何処にも見当たらなかったのでした。
さて、カマルザ選手は現実に、会場の医務室では対処し切れないほどの重傷だったため、そのまま救急車で病院へ搬送されました。幸い、命に別状は無かったようです。
また、ジークリンデ選手はあからさまな「反則負け」で、後日、DSAAからは「永久除名処分」となりました。
(その後、彼女は行方をくらまし、再びヴィクトーリアたちの前に直接にその姿を現わすのは、これからおよそ9年後のことになります。)
なお、これ以降、IMCSでは、ダウンすら許さない「空中乱打」は「禁じ手」となりました。
(もっとも、ジークリンデ以外の人間にあんな「離れ業」が本当に可能だなどとは、誰も本気で考えてはいなかったのですが。)
一方、次の第三試合(第3ブロックの2回戦)では、ミカヤが独り驚くほどの冷静さを保ち、前の試合の内容に少なからず動揺していたウロムリィに、余裕のKO勝利を収めました。
【第4ブロック以下の試合は、描写を省略します。】
そして、三日目。
第2ブロックからは、1回戦でカマルザ(17歳)に不覚を取ったグラスロウ(17歳)が代理出場しましたが、組み合わせ抽選の結果、再びハリー(16歳)との対戦となりました。しかも、第一試合です。
昨年の3回戦と同じ組み合わせで、ほぼ同様の展開となり、結局、グラスロウはKOこそ免れたものの、いささか不本意な結果に終わってしまい
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