【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第3節】同79年の10月以降の出来事。
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「ところで、私は今、記憶継承の意味について考えているのですが……。あなたはクラウスから何代目ですか? また、記憶継承者としては何人目ですか?」
「昔、祖父から聞いた話では、私はハインツを初代と数えて16代目であり、記憶の方は、同様に数えて7人目だということですが……」
「私は、ディヴィサから数えて15代目。記憶継承者としては、やはり7人目です」
「それは……つまり、どういう意味なんですか?」
「あれから360年。当時のベルカの技術力を考えると、おそらく、記憶継承は私たちの世代で最後になるでしょう」
ファビアによれば、記憶継承とは、そもそも継承回数に限度があり、同じ時代に二人の継承者は必要ないので、先代の継承者の死亡と同時に「最も若い有資格者(先代の直系の子孫)」の脳内で「継承記憶」が顕在化する、というシステムなのだそうです。
また、当時の技術では、「最初の記憶継承」は自分のクローンに対してしかできませんでした。一連の記憶を「世代を超えて継承されてゆく記憶」として(つまり、「一個のパッケージ化されたメモリー」として)定着させるためには、「最初の記憶継承」がとても重要であり、それを成功させるためには「両者の遺伝情報が『おおよそ』一致していること」が必須の条件だったからです。
「それで、『ディヴィサの手記』にも、わざと書き飛ばされている箇所がありました。おそらく、始祖クロゼルグは『文字としては、とても書き残せないようなコト』を、それでも後世に伝えたくて、ディヴィサに記憶を託したのだと思います」
「それでは、クラウスの嫡子ハインツはクラウスのクローンだった、ということですか? 確か、彼はマルガレーテの腹から産まれていたはずですが」
「覇王クラウスは、最後の最後まで家庭を顧みなかった、と聞いています。最初から記憶継承のために、王妃に自分のクローンを産ませたのか。それとも、世継ぎを欲しがった王妃が勝手に造って産んだのを、後からクラウスが利用したのか。それは解りませんが……。
あなたもいずれは必ず思い出すことになるでしょうが、クラウスの晩年の記憶にも、きっと何か意味があるだろうと思います。そうでなければ、あんな時代に、わざわざ記憶継承など、するはずがありませんから」
そうして、ファビアがまた丁重にアインハルトに別離の挨拶をして、メガーヌやルーテシアの待つ次元港へと向かった後も、アインハルトは独りで考え続けました。
(今まで、私は自分のことしか考えていませんでしたが……よく考えれば、私以前にも、この記憶を継承した人物は6人もいたのですね。中でも、ハインツはわずか8歳で記憶を継承したと聞いています。
彼はとても「母親想い」の少年だったそうですが、『自分の父親が自分の母親
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