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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
 【第3節】同79年の10月以降の出来事。
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 はやては続けて語りました。
「あの時は、IMCSの医療班が即座に、デバイスに魔力回復措置を(ほどこ)して大人モードを解除させたので、どうと言うほどの事態(こと)にはならなかったのですが、もしもそうした環境が整っていない状況下で同じ事態が発生し、そのまま何時間も放置されていたら……その人物には、少なくとも何らかの後遺症が残ってしまうでしょう。
 一方、ヴィヴィオ選手のデバイスは、AIとしては、まだ今年の4月に生まれたばかりです。そして、経験の総量が少ないということは、『ひとつひとつの経験をそれだけ重く受け止めてしまっている』ということでもあります。
 だから、おそらく、あのデバイスの中では、『かつて自分が頑張り過ぎた結果として、マスターの生命(いのち)を危険にさらしてしまった』という経験が、ほとんどトラウマのようなものになっているのでしょう。
 もしかすると、ヴィヴィオ選手自身は今頃、『もうちょっとだけ、無理を重ねて立っていたら』などと思っているかも知れませんが、私はデバイスの判断を支持したいと思います。これは、あくまでも試合であり、戦技披露会でしかないのですから」
 実のところ、「マスターの身の安全への配慮」という点に限って言えば、むしろクリスの方が、レイジングハートよりも優秀なデバイスだと言って良いでしょう。

 なのはは地上に降り、愛娘(まなむすめ)の両手を取って立ち上がらせると、自分は膝立ちになって、愛娘の小さな体を優しく抱きしめました。
「こんなにも強くなっていただなんて。ママ、もうビックリだよ」
 母親からの惜しみない賛辞に、ヴィヴィオは少々はにかみながらも、軽く溜め息をつきます。
「それでも、まだ勝てないんだよね〜」
「大丈夫よ。あなたはこれから、まだまだ強くなるわ。クリスもありがとう。この子は、ちょっと無茶をする子だけど、これからも、ヴィヴィオのこと、お願いね」
 クリス(セイクリッドハート)は、笑顔でうなずきました。
「ムチャをどうこうは、なのはママにだけは言われたくないんですけど?」
「うん。そういう軽口を返せるようなら、もう大丈夫ね」

 なのはは笑顔で立ち上がり、拍手で名勝負を(たた)える観客たちに向かって、ヴィヴィオと一緒に手を振りました。
 その後、控え室に戻ってから、ヴィヴィオはなのはに訊きます。
「ママ。またいつか再戦してくれる?」
「うん。でも、この戦技披露会は、来年も再来年も、もう聖王教会騎士団との『コラボ企画』で、時間枠が埋まっちゃってるから。来年に私たちが、またこの舞台で再戦するというのは、ちょっと無理な話ね」
 そんな訳で、なのはは1年と4か月後、ヴィヴィオが初等科を卒業する来年度末(81年の3月)に、「卒業祝い」として、また別の舞台での再戦を約束したのですが……
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