【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第3節】同79年の10月以降の出来事。
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と言って、『これからも無い』とは限らないのよ。過去のデータがすべてでは無いの」
ヴィヴィオは小さくうなずいて見せましたが、実のところ、肺活量が半分になってしまったのでは、もう「長時間、速く動き続けること」ができません。また、それ以前の問題として、そろそろスタミナも限界です。
どうしたものかと思っていると、なのはの方から思わぬ提案がありました。
「これを受けて10秒後にもきちんと立っていられたら、あなたの勝ちでいいわ」
再び〈スターライトブレイカー〉の魔力収束が始まります。ヴィヴィオは、他に対抗手段があるはずも無く、ありったけの魔力でまた鋭角的な楔型のシールドを正面に展開しました。なのはの照準が正確だったことも手伝って、魔力の奔流はまたきれいに真っ二つに裂けて、ヴィヴィオの左右へと分かれて行きます。
それでもなお、ヴィヴィオのリンカーコアにのしかかる負担は莫大な代物で、魔力はガリガリと削られて行きました。全身の気力を振り絞って二度目のスターライトブレイカーをまたかろうじて受け流した時には、ヴィヴィオはもう「立ったまま意識を失う寸前」といった状況です。
(このまま……10秒間、倒れずに立ってさえいれば……。)
ヴィヴィオは薄れゆく意識の中でそう思いましたが、そこで唐突に「大人モード」が解除されてしまいます。
(え? どうして?)
ヴィヴィオはバランスを崩し、思わずその場に両膝と両手をついてしまいました。これで、ヴィヴィオの負けが確定します。
ヴィヴィオが顔を上げると、目の前でクリスが泣きながら激しく左右に首を振っていました。まるで、『これ以上は無理しちゃダメ! 体が壊れちゃう!』と叫んでいるかのようです。
「これは! 単純に、魔力切れ……ということなんでしょうか?」
司会者はこの唐突な展開に理解が追い付かなかったようですが、はやては巧みにクリスの意図を察して、こう答えました。
「ヴィヴィオ選手はIMCSの地区予選で一度、本人とデバイスが同時に魔力を使い切ってしまったため、一時的に昏睡したまま『大人モード』を解除できなくなったことがあるんですが、実を言うと、アレはなかなかに危険な状況でした」
「と、おっしゃいますと?」
「大人モードへの変身というのは、それなりに魔力を消費する魔法で、何時間も連続して大人の姿で居続けることは誰にもできないほどです。
また、昏睡状態では、通常の睡眠状態とは違って、一般にリンカーコアは魔力を生産することができません。そうした状態で、なおかつ魔力が底をついたままで、それでも強制的に魔力を消費させ続けると……リンカーコアはしばしば本人の基礎生命力まで削って、使い込み始めます」
「え? それって……!」
「平たく言えば、生命が危険にさらされる、ということです
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