【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
【第3節】同79年の10月以降の出来事。
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちろんよ!」
ヴィヴィオは宙に浮かぶ岩を足がかりに、果敢に距離を詰めて行きました。何分もの間、息をもつかせぬ目まぐるしい攻防が繰り広げられます。
そして、ヴィヴィオは距離の詰まった一瞬の隙に左手を伸ばし、「レイジングハートの柄」をつかみ取りました。そのまま「なのはの体」を右正拳の間合いに引き込もうと、自分の胴体を左に回すようにして、レイジングハートを力ずくで引っ張ります。
その瞬間、右の脇には隙が生じますが、ヴィヴィオは、これまでの「なのはの戦闘記録映像」の詳細な分析から判断して、『たとえ一瞬でも、なのはがレイジングハートを手放すはずは無い』と信じていたのです。
それなのに、なのははまるで、それを待ち構えていたかのように、いきなりレイジングハートを手放しました。ヴィヴィオは宙で、思わず少し体勢を崩してしまいます。
そして、次の瞬間、ヴィヴィオの右脇腹に、なのはの「ねじり込むような」左拳の二連撃が決まり、ヴィヴィオの体は軽々と吹っ飛んでいきました。
「私、高町一等空尉の徒手格闘というのは、初めて見たような気がするのですが、これは一体どういうことなんでしょうか?」
司会者は狼狽も露わに、はやてに解説を求めました。
公式の場なので、はやても「やや余所行きの口調」で答えます。
「一般には知られていませんが、高町一等空尉の父親は、実は、その管理外世界における古流武術の継承者です。だから、彼女は元々、格闘も『ひととおりは』できるんですが、『それほど得意という訳でもないので、今まで、あまり人前では使わずにいた』というだけのことなんですよ。
今の技法の具体的な説明は……たまたまここに『古流武術にも詳しい、IMCSの格闘系選手』がいるので、彼女に訊いてみましょう」
はやてはそう言って、あとの解説をアインハルトに丸投げしました。
「大半の方は見逃してしまっただろうと思いますが、実は、今の二連撃は打撃のポイントが互いに少しだけ横にズレていました」
「ああ! 確かに、ズームしてスローで観ると、そのように見えます。しかし……これは、一体どういう意味なんでしょうか?」
「これは、同じ一本の肋骨を二箇所でへし折るための技法です。肋骨は体の前面と背面で固定されているので、一箇所でポキリと折れただけでは、あまり動きません。きれいに垂直に破断した場合には、本人が自分の骨折に気づかないことすらあり得ます。
しかし、同じ肋骨が『近接した二箇所』で折れると、その間の骨片は、体内を自由に動き回れるようになり、外部からの衝撃によっては、肺に突き刺さり、肺を破ってしまいます。
また、あの『ねじり込み』は、肋骨をなるべく斜めに折って、肺に刺さりやすくするための技法
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ