暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
 【第2節】IMCS第27回大会の都市本戦。
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「いわゆる『六課メンバー』の一人でね。実は、私とも同い年なんだが、四年前の『あの一件』では、〈ゆりかご〉の内部にまで乗り込んで戦った、という話だ。
 また、三年前、陸士隊の問題児どもに(から)まれた時にも、『一人で全員を返り討ちにした』という逸話(いつわ)があり、昨年の〈マリンガーデン炎上事件〉でも相当な活躍をしたと聞く。
 今年は、地区予選の会場に観客として来ていた、という目撃情報もあるんだけれどね。残念ながら、私は会えなかったよ。……ん? どうした?」
「いや。そんなに嬉しそうな顔で、私が知らない女の話をされると、ちょっと……」
「あっはっは。やっぱり、可愛いなあ、君は!」
「可愛くなんかないですよ、私は!」
 ノーザが笑って恋人の肩を抱き寄せると、ザミュレイは思わずそんな「いつもの決まり文句」を言って顔を(そむ)けながらも、年頃の女子らしく(ほほ)を染めたのでした。
(タネを明かせば、『ジークリンデに向けた辛辣(しんらつ)な言葉も、単に「いつもの決まり文句」のヴァリエーションでしかなかった』という訳です。)


 都市本戦の優勝祝賀会の後、ジークリンデは呆然と星空を見やりながら、(ひと)り思い悩んでいました。
 先日はノーザから、今日はバオランから、試合の後で「将来についての話」を聞きましたが、それで、彼女の悩みはかえって深まってしまったようです。
(ウチ)は……IMCSを引退したら、あとは一体何をすればええんやろう?)
 彼女は、自分の「人生そのもの」に関して、実は、まだこれといった目標がありませんでした。
 元々「集団行動」が大の苦手なので、管理局になど入ったところで、まともに仕事が務まるとは思えません。
 せっかく、こんな力を授かって生まれたのですから、何らかの形で『誰かの役に立ちたい』とは思っているのですが……。
 彼女が、自分の「あるべき姿」に辿(たど)り着くまでには、まだ長い歳月が必要でした。



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