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八条学園騒動記
第七百二十七話 象の過去その三

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「連合には存在している」
「マウリア国民が入っていて」
「それでだ」
 その為にというのだ。
「そうなっている」
「左様ですね」
「それでガネーシャ神自体もな」
 仏教の仏でなくというのだ、大尉は神と仏の違いを理解していてそのうえで上等兵に対して言っていた。
「存在していてな」
「人気があるのですね」
「そうなのだ」
「それでその神がですね」
「象なのだ」
「そのことからもわかりますね」
「象は人気がある」
 人の間でというのだ。
「それも昔からな」
「そうなのですね」
「そしてだ」
 大尉は話を続けた。
「象の待遇だが」
「動物園の」
「いや、サーカスのだ」
「そちらですか」
「かつてはかなり酷かったのだ」
「昔のことですか」
「二十一世紀前半まではな」
 この頃まではというのだ。
「動物愛護の精神が浸透するまではな」
「そうだったのですね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「象以外の動物の扱いも悪かったが」
「象もですか」
「あるサーカス団では三十年の間に二十頭もだ」
「象が死んだのですね」
「中には三歳の子もいた」
「象で三歳ですか」
「象の平均寿命は七十歳だ」
 それ位であることも話した。
「大体昔の人間と同じだな」
「昔はそれで長生きでしたね」
「七十年生きればな」
 そうなればというのだ。
「古稀と言われた」
「古来稀ですね」
「即ちそこまでだ」
「長生きとされたのですね」
「その七十年だ」
 像の寿命はというのだ。
「今は動物園では百歳まで生きる」
「長生きの生きものですね」
「その象で三歳だ」
「赤ちゃんですね」
「その赤ちゃん象がだ」
「死んだのですか」
「過酷な環境の中でな」 
 まさにその中でというのだ。
「そうなっていった」
「そうでしたか」
「そうだ、虐待までだ」
「受けて」
「芸をさせられ続けてな」
 そうなってというのだ。
「親からも引き離され」
「赤ちゃんで」
「そうして酷使されてな」
「死んだのですね」
「そうした子もいた」
 大尉は険しいそして目に悲しいものを宿らせて話した。
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