第二章
[8]前話
「そうするよ」
「頼むな」
「それじゃあな」
「そういうことでな」
友人達も応えた、そして話の通りにしてだった。
オットーは村に枠に入れられたまま連れて来られた、すると村の者達はこぞって今年の五月の王を言い出したが。
皆外した、その度にオットーが枠の中から鈴を鳴らしたが。
「仕方ない飲むか」
「ビール一杯だな」
「ビール飲むか」
「そうするか」
こう言ってだった。
仕方なくといった風に言いつつ満面の笑顔でビールを飲んでいった、誰もが外してどんどんビールを飲み。
祭りをしていった、そして最後にだった。
ビールに酔いしれた村長が当てた、すると。
オットーは木枠から出た、村人達はその彼の周りに集まって口々に言った。
「よし、それじゃあな」
「今度はお前が飲め」
「お前が飲むんだ」
「俺達も飲むけれどな」
「そうするんだ」
「それじゃあ」
オットーも笑顔で頷いた、そしてだった。
彼もまたしこたま飲んだ、そうして他の村人達と共に酔い潰れた。そのうえで。
次の日だ、友人達に共に痛む頭に苦しみつつ話した。
「いやあ、よかったよ」
「五勝の王になるとな」
「面白いよな」
「俺達もなってきたけれどな」
「いいだろ」
「うん、皆がビールを飲んでるのを見て」
そしてというのだ。
「最後に自分もってなるのがね」
「いいよな」
「しかも主役だからふんだんに飲めるしな」
「それがいいよな」
「本当にな」
「全くだよ、植物の精霊の化身だってことだけれど」
オットーは五勝の王が何であるかも話した。
「こんな面白い催しはもうずっとだよ」
「続いて欲しいな」
「そうしたらお祭りの時はしこたまビール飲めるからな」
「そうなるからな」
「だから続いて欲しいよ、今は飲み過ぎて頭が痛いけれどね」
それでもと言ってだった。
オットーは友人達と共に川で水浴びをした、頭から水を被りそのうえですっきりとした。そうして畑に出てそちらの仕事に励むのだった。
五月の王 完
2023・8・16
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