第三章
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「実に。しかしそなた達がいて何よりだ」
「そう言って頂けますか」
「我等がいて」
「その様に」
「王は一人では王になれぬからな」
こう言うのだった、そしてその場には。
王妃と王子それに王女もいた、王は自分のところに駆け寄って来た彼等と抱き締め合ったがここで戦士とのことから言った。
「そなた達はもう余の妻、息子、娘ではないのではないか」
「いえ、そのことですが」
ここでだ、場にあの戦士が現れた。そのうえで王に言ってきた。
「お三方は今もです」
「余の妻で息子で娘か」
「そうです、私は確かにお三方をこの国に迎え入れましたが」
それでもというのだ。
「そこからはです」
「何もしていないか」
「左様です、その証にです」
ここで戦士は黄金の杯を出した、王にその杯を見せつつ話した。
「この美しい杯は魂も持っています」
「そうであるのか」
「三度嘘を言えば壊れますが」
そうなるがというのだ。
「三度真実を言えばです」
「その時はどうなる」
「元に戻ります」
「そうした杯か」
「まず一年と一ヶ月ごとに王に申し上げたことを言いましょう」
王女を妻に王子を養子に王妃を義母にと言った、すると杯にはヒビが入ったが。
戦士が次にその三つのことを否定すると杯は元に戻った、戦士はそれを見せて王に語った。
「全てはです」
「その杯が見せた通りか」
「左様です、お三方は今も王のご家族です」
「それは何よりだ、何と素晴らしいことだ」
「では共に宴を楽しみましょう」
戦士は次にこう言って王と彼の家族に男と美女それに王の廷臣達を交えて宴を開いた、その後でだった。
戦士は王にだ、微笑んで言った。
「王は三つの願いを適えてくれたので」
「だからか」
「黄金の林檎達と杯はです」
それ等はというのだ。
「王にお渡しします」
「そうしてくれるか」
「そして」
そのうえでというのだ。
「私のこともお話しましょう」
「そなたのことを」
「はい、私はマナナン=マリクル」
戦士は厳かに名乗った。
「市の招きを受けぬ者」
「何と、あの神とは」
「王が非常に真面目で誠実な人物と聞き」
そうしてというのだ。
「確かめさせて頂いた、その噂に違わぬ王であられた」
「余が真面目で誠実だと」
「非常に、それ故にこの度神々の世界を見せ」
そしてというのだ。
「男女の従者達と共にもてなさせてもらった次第」
「そうであったか」
「その真面目さと誠実さへの祝福として」
それでというのだ。
「三つの黄金の林檎と銀の枝は授けよう」
「有り難き幸せ」
「では人の世に戻るのだ」
マナナン=マリクルがこう言うとだった。
場はあの城壁の前に戻った、戦士はおらず王がいて宮廷に戻ると廷臣達
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