第二章
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「そうしないか」
「ヒナを譲るだけでなくか」
「そうだ、人間達にはまだ恵みが少ないからな」
だからだというのだ。
「そうしないか」
「いい考えだ、ではだ」
「そうするな」
「ああ、俺が負けたらバナナをもたらす」
人間達にというのだ。
「そうする」
「なら俺は椰子だ」
「お互いにそうしよう」
「では決闘だ」
神々はお互いに話してだった。
早速ヒナを巡っての決闘に入った、するとだった。
空を黒雲が多い雷鳴が轟いた、他の神々が決闘の立会人を務めたが。
先に動いたトゥナを見てだ、彼等は唸った。
「凄いな」
「ああ、何度も荒波を起こして攻めている」
「物凄い攻撃だ」
「トゥナは海中にいる魚の一つの神だ」
彼が鰻の神であるからだというのだ。
「海では無敵だ」
「如何にマウイといえどこの攻撃は耐えきれるか」
「難しいぞ」
「これはな」
神々は口々に言った、だが。
マウイは右手に持つ珊瑚の杖で身体を支え凌いだ、そして何度も来る波を凌いだ。波は何度も来たがそれでもだった。
彼は耐えきった、そのうえでトゥナが攻撃を続ける中で見せた一瞬の隙を見逃さず彼に飛び掛かると。
陸地に投げ出した、神々はそれを見て言った。
「トゥナは確かに海の中では強い」
「無敵と言っていい」
「だが魚は陸地ではどうにもならない」
「こうなるとな」
「くっ、俺の負けだ」
トゥナは陸地に投げ出されるとそこに座り込んでマウイに言った。
「陸地に出されるとな」
「お前はどうにもならないな」
「油断した」
その隙を作ったことを悔やんだ。
「こうなってはな」
「負けを認めるしかないな」
「ヒナはお前のものだ」
潔くこのことを認めた。
「そしてだ」
「人間達に椰子をもたらすな」
「約束だからな」
決闘のそれだからだというのだ。
「そうする」
「約束は守らないとな」
「特に神はな」
「ではな」
「そうしよう」
トゥナは潔く身を引いてだった。
人間達には椰子をもたらした、こうしてマウイはヒナと結婚したがその祝いの場で彼はこんなことを言った。
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