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強いけれど世間知らず
第三章
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「今回のクエスト、作戦では軍から予算が出ているしな」
「馬や食料、物資のお金は安心して下さい」
 マリエラも言ってきた。
「そちらのことは」
「宿代もある」
「はあ、そうですか」
「それはまた凄いですね」
 二人は軍人であるカリエラ達の返事に唖然となった、それは彼等の冒険の常識とは全く違っていた。
 それはカリエラ達だけでなく。
 モニカもだ、毎朝誰よりも早く起きてキエラと共にだ。
 女神に礼拝を捧げ泊まっている宿屋を二人で掃除したりする、カルロとフェリペはこのことにも驚いた。
「な、何してるんですか」
「宿屋の掃除なんて」
「そんなの宿屋の方でしますよ」
「必要ないですよ」
「清めることは神の望みです」
 モニカは一片の曇りもない笑顔で答えた。
「ですから一拍させてもらったら」
「この様にです」
 キエラも言ってきた。
「清めます」
「身体も場所も清め」
「常に女神を忘れないのです」
「いえ、そんなこと誰もしないですから」
 カルロは必死の声で言った。
「休んでいていいですよ」
「玄関前も掃きましたけれど」
 フェリペも言った。
「宿屋の人驚いてましたから」
「どうしてですか?」
「決まってます、自分達が掃こうとしたら」
 きょとんとなったモニカに答えた。
「お客さんがやったんですから」
「そうですか」
「ええ、あの礼拝はいいとしまして」
 流石に信仰のことには口を挟まなかった、ややこしい問題になるということがわかっているからだ。
「別にです」
「清めることはですか」
「そうです」
 強い声で告げた。
「本当に休んでいていいですよ」
「ですが私達の教えでは」
「じゃあベッド位にしておいて下さい」 
 寝たそこをというのだ、二人はモニカにも言った。彼女達は冒険早々こうしたことをしでかした、だが。
 それで終わりではなくだ、二人は食事もだ。
 巷の料理を知らなかったりした、二人共冒険の途中でカルロとフエリペが釣った魚と山菜を煮たものを食べて言った。
「美味しいですが」
「これは何というメニューだ」
「いや、何って言われても」
「ただ川魚と山菜を煮ただけです」
 男二人はこう返した。
「料理名はです」
「これといってないです」
「そうなのですか」
「そうしたものはないのか」
「ええ、別に」
「ありません」
 二人はまた答えた。
「どうかと言われても」
「まあごった煮ですね」
「ごった煮。そんなお料理もあるのですね」
「はじめてだ」
「教団ではいつも質素な食事ですが」
「軍もな」
 二人はそれぞれ質素であった、彼女達に仕えている者達と同じ位に。
「だが常に料理には名前があり」
「こうしたものははじめてです」
「まあ冒険者ですから」

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