第三百二十四話 極寒の自然の中でその十一
[8]前話 [2]次話
「食べることですね」
「そうですね、確かに」
「そうすべきですね」
マスターと市長もそれはと答えた。
「イヌイットの人達もそうしていますし」
「我々も」
「食べるものが多いなら」
それならというのだ。
「それだけで、です」
「違いますね」
「まことに」
「そうです、鳥も食べて」
そしてというのだ。
「鯨も、そして」
「そして?」
「そしてといいますと」
「カイギュウもです」
この生きものもというのだ。
「ステラーカイギュウがいますが」
「あのカイギュウも食べますか」
「そうしますか」
「この世界では棲息していて」
絶滅しておらずというのだ。
「それでアラスカ州の海にもいますし」
「浮島にもいますね」
「その場合もありますね」
「彼等もです」
そのステラーカイギュウもというのだ。
「大きいですが」
「漁をして」
「それで、ですか」
「食べましょう、何でもです」
エリカはさらに話した。
「美味しいそうですし」
「はい、確かに美味しいです」
市長が真顔で答えてきた。
「ステラーカイギュウは」
「やはりそうですか」
「子牛の様な味がしまして」
その肉はというのだ。
「脂はアーモンドの様です」
「それは起きた世界でも聞きましたが」
「それに獲るのも楽だそうで」
市長はこのことも話した。
「銛で刺せば」
「それで終わりですか」
「後は捕まえて船で曳いて岸辺まで持って行けば」
そうすればというのだ。
「終わりです、逃げることも隠れることもです」
「しないそうですね」
「あのカイギュウは」
「だから漁も楽ですか」
「戦うこともしません」
そうしたこともないというのだ。
「ですから」
「見付ければですか」
「確かに大きいですが」
その身体はというのだ。
「七メートルは普通にあり」
「九メートル位のものもいますね」
「ですが完全な草食性で」
それでというのだ。
「極めて大人しく」
「近寄って銛で刺して」
「後は捕まえて、捕まえる方が先でもいいですが」
「その後は船で岸辺まで曳けば」
「その間に銛で刺した傷口から流れた血が出て死にますので」
出血多量でというのだ。
「それで解体してです」
「食べるだけですね」
「イヌイットの人達はそうしています」
「起きた世界では刺して死んで岸辺に流れ着いたものを食べていたそうですが」
「それでは確実に食べられないので」
「こちらの世界のイヌイットの人達はそうしていますか」
「はい」
そうだというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ