第百二十六話 言葉を受けてもその十一
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「何でも我慢してね」
「飲んでたな、あの頃の作家さんはな」
「そうして飲んでたの」
「お父さんもあの人の文章読んだけれどな」
「そう書いてあったのね」
「そんな飲み方してもな」
それでもというのだ。
「いい訳ないしね」
「美味しくないわね」
「坂口安吾とかな」
「そうした作家さん達は」
「色々やけっぱちになっていたんだろうな」
「破れかぶれな」
「それでああしてな」
無頼派と言われる通りにというのだ。
「無茶な飲み方もな」
「やっていたのね」
「あんな飲み方はお父さんがしてもな」
それでもというのだ。
「いい訳ないからな」
「やったら駄目よね」
「お酒は美味しくだよ」
こう娘に言うのだった。
「飲んでこそだ、だから咲も飲みたくないならな」
「飲まないことね」
「ああ、牛乳を飲みたいならな」
それならというのだ。
「そっちを飲めばいいさ」
「それじゃあね」
「そしてな」
それにとだ、さらに言うのだった。
「食べることもな」
「楽しくなのね」
「今葡萄食べてるな」
「シャインマスカットね」
見れば咲はその葡萄を食べている、種なしで実に食べやすくしかも甘さも充分過ぎるまでであり実にいい。
「美味しいわ」
「美味しいものも食ってな」
「楽しむことね」
「無理して飲むのは駄目だ」
「じゃあこのままね」
「ああ、牛乳飲めばいいさ。ただ牛乳のお酒もな」
父はこうも言った。
「あるからな」
「そうよね、売ってるわね」
「世の中色々なものがお酒になるからな」
「そうよね」
「糖分があれば」
それならというのだ。
「それがな」
「お酒になるわね」
「だから牛乳もな」
「実際甘みあるし」
菓子にも使われる程である。
「だからな」
「それでよね」
「お酒になるんだ、一度な」
「牛乳のお酒も飲むといいのね」
「咲がそうしたいならな」
それならというのだ。
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