第四十五話 属性その一
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第四十五話 属性
この時遊人は自分の勤め先である区役所にいた、そこでだった。
自分がいる場所に征一狼が来た、そこでだった。
「おや、まさか」
「ここでお会いするとは思いませんでしたね」
「そうですね、お互いに」
「意外な出会いですね」
「運命ですね」
遊人は笑顔で述べた。
「これもまた」
「そうなりますか」
「はい、ただ」
「今はですね」
「紳士協定といきますか」
「そうですね、闘うことは」
それはというのだ。
「止めましょう」
「そうですね」
「然るべき場所で」
「然るべき時間に」
「闘いましょう」
「そうしましょう、それでなのですが」
遊人はあらためて言った。
「どういったご用件で」
「離婚届を欲しいのですが」
「離婚、ですか」
「はい」
「そういうことですね」
遊人は事情を察して述べた。
「僕達の戦いで」
「どうなるかわかりませんから」
「僕はあまりお勧めしません」
遊人は征一狼に真顔で告げた。
「まずはです」
「生きることですか」
「敵である僕が言うのも何ですが」
それでもというのだ。
「戦うからといいましても」
「別れることはですか」
「まして大切に想われてますね」
このこともだ、遊人は話した。
「そうですね」
「だからこそです」
「そうですか、お渡しはしますが」
今も真顔で言っていた。
「ですが」
「それでもですか」
「よくお考えになって」
そうしてというのだ。
「出して下さい」
「そうすることですか」
「どうしてもという時もあります」
離婚しなくてはいけない時もというのだ。
「ですが」
「それでもですね」
「大事に想われているなら」
それならというのだ。
「別れるべきではありません」
「僕もそう思っていますが」
「そうですね、ではです」
「よく考えてですか」
「出して下さい、ご家族に天の龍の皆さんに」
それにというのだった。
「従弟の方もおられますね」
「玳透君ですか」
「彼もまたクランプ学園の生徒ですね」
「はい、僕達の後輩でもあります」
「颯姫さんや??君から聞いていますので」
「彼のことも」
「ですから」
それでというのだ。
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