第七百二十六話 チーターは実はその九
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「この国では死刑はな」
「惨いですね」
「凶悪犯に対してはな」
「左様ですね」
「まるで中南米の神々への生贄の様にもだ」
「処刑を行いますね」
「若しかしたらだ」
大尉はここでこうも言った。
「生贄なのかも知れない」
「凶悪犯への処刑は」
「そうだ」
考える顔で言うのだった。
「そうかもとな」
「思われますか」
「私としてはな」
「そうなのですね」
「もう生贄は存在しないが」
連合でも中央政府そして各国政府の法律で禁じられている。
「しかしな」
「形を変えてですか」
「行われていてだ」
そうしてというのだ。
「楽しまれているのかもな」
「かつてのマヤやアステカ、インカの様に」
「この国々はただ神々に捧げていただけではない」
生贄達をだ。
「彼等はその儀式を見て興奮していた」
「生贄を神々に捧げるそれを」
「そうだ、先ほども言ったが生贄の肉さえだ」
「喰らって」
「楽しんでいた、その儀式は祭りでもあったからな」
それ故にというのだ。
「熱狂さえしてだ」
「楽しんでいましたか」
「生贄が捧げられることもな」
「そうだったのですね」
「そして連合もな」
この国もというのだ。
「凶悪犯を惨たらしく処刑してだ」
「それをイベントとしていることも」
「祭りになっているからな」
そうでもあってというのだ。
「信仰上でのことではないが」
「形を変えたですね」
「生贄なのかもな」
こう上等兵に話した。
「若しかするとな」
「そうですか」
「少なくとも連合では凶悪犯の人権は存在しない」
一切というのだ。
「そのことは間違いない」
「それは私もわかります」
「そうだな、見ればな」
「わかることです」
まさにというのだ。
「嫌になる程に」
「被害者と加害者の人権を比較してだ」
そうしてというのだ。
「完全に被害者に寄るのがだ」
「連合の人権ですね」
「そうなのだ」
このことは連合側も自覚している、被害者の人権こそ重要で尊ぶべきものであるという考えであるのだ。
「そして加害者はな」
「その人権は考慮しない」
「特に凶悪犯ならな」
「尚更ですね」
「どうしようがだ」
それこそというのだ。
「心なぞな」
「痛まないですね」
「そんなものだ」
まさにというのだ。
「連合ではな」
「そういうことですね」
「賛成出来ない考えだ」
大尉は一言で言い捨てた。
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