夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第11話
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うちにアイアンザックを始末出来ていたはずです。彼がまだ未熟だったのか、スパルタンシリーズのスペックが想定を超えていたのか……あるいは、その両方か。いずれにせよ、彼にはもっと成長して貰わねばなりませんね」
亜灰縁も彼女に続き、冷淡な佇まいで踵を返す。その弾みで、白衣を内側から押し上げている彼女達の膨らみが、ぷるんっと揺れていた。極上の美少女達の柔肌に宿る甘い匂い。その芳香が僅かに漂うこの薄暗い研究室は、静寂に包まれている。
「……これでミサイルスパルタンも、スナイパースパルタンも消滅。一度は滅び損ねたスパルタンシリーズも、今度こそ完全な終焉を迎えたようだねぇ」
「えぇ。……オルバスもまだ成長途上ではありますが、今回の戦闘でさらに経験値を積めたことでしょう。それに……」
「あぁ……真凛・S・スチュワート。彼女の働き振りはなかなかのモノだった。……そろそろ君も、認めざるを得なくなったのではないかな?」
光の興味は、オルバスやヘレンを陰から援護していた真凛に移っていたらしい。彼女の言葉に目を細めながら、縁はデスクに置かれていたジャスティアドライバーの一つを手に取る。それはジャスティアタイプの42番機「ウェペル」のベルトだった。
「……別に、貴女の判断に口を挟むつもりはありません。単に気に食わなかった、というだけのことです」
優れた潜水能力を持つ真凛ならば、水陸両用という特性を持つウェペルの鎧を使いこなせるかも知れない。そんな期待に胸を膨らませている光とは裏腹に、真凛の経歴から滲み出る「我の強さ」に眉を顰めている縁は、怪訝な表情でモニターに映る彼女の姿を見つめていた。
「あぁ……なるほど。君とはあまり相性が良くなさそうなタイプだからねぇ」
縁の横顔を一瞥する光は、腑に落ちたという様子で口元を緩めている。彼女の艶やかな唇はモニターの光を浴び、扇情的な光沢を放っていた。まだ18歳という若さではあるが、モニターに照らされた蠱惑的な美貌は、底知れぬ妖艶さを湛えている。そんな彼女の吸い込まれるような瞳が、再びモニターに向けられた。
「しかし……スパルタンシリーズ、ねぇ。11年前の『エンデバーランド事変』で滅びたというマルコシアン隊は……あんな粗雑な玩具で旧シェードの侵攻を退けたというのだから、信じ難い話だ。その計画の最高傑作でさえあの程度だったのだから、当時生産されていた他の試作機なんて、なおのこと酷いモノばかりだったろうに……」
「……どんなに優れた外骨格でも、使い手の実力が伴わなければ宝の持ち腐れ。それは逆も然り、ですからね。いくら優秀な装着者を用意出来ても、肝心のスーツの性能が劣悪では……」
「あぁ。それに……『失敗作』の寄せ集めに過ぎない今のノバシェードとは違って、当時の
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