第百二十六話 言葉を受けてもその四
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「そうした場合もありますが」
「そうでないなら」
「そしてトラウマになる様なことなら」
「忘れることですね」
「一瞬で、トラウマはどうしても生じますが」
その人の心にというのだ、速水はトラウマを抱えていない人間もまず存在しないと自分のこれまでの人生特に占い師それに裏の仕事から見て来たことから話した。
「しかしです」
「それでもですか」
「出来るだけ持たないことです」
「それがいいですか」
「心の傷は身体の傷より厄介です」
そうしたものだというのだ。
「いつも痛みその人を苦しめるので」
「だからですね」
「持たないならです」
それならというのだ。
「それで、です」
「いいですか」
「はい」
そうだというのだ。
「まことに、そして人のそれはです」
「言わないことですね」
「身体の傷に触れられても痛いのです」
「それなら心の傷に触れられると」
「余計に痛いです、軽い気持ちでからかっても」
そうして相手の心の傷に触れてもというのだ。
「触れられた相手は非常に痛い思いをして」
「怨みますか」
「そして覚えています」
「忘れないで、それもです」
「怨んで」
「そうですので」
だからだというのだ。
「そんなものにはです」
「触れないことですね」
「そうすることです」
「そうですか」
「怨まれていいことはないですね」
「絶対にそうですね」
咲もそれはと答えた。
「本当に」
「ですから」
それでというのだ。
「そうしたものはそっとしておくことです」
「怨まれない為にも」
「若しその人が自分から見て何でもない相手と思っていても」
「実はですね」
「例えばその人が悪事をインターネットで拡散すれば」
自分を傷付けた相手のそれをというのだ。
「どうなるか」
「大変なことになりかねないですね」
「腕力や財力、社会的立場がどうでっても」
その相手のそれがというのだ。
「復讐のやり方なぞ幾らでもあります」
「ネットとかですね」
「そうです、それこそ何倍にも仕返しされる様な」
そうしたというのだ。
「事態もあります、人の恨みは馬鹿にしてはいけません」
「怖いものですね」
「非常に。それが霊になれば」
「怨みと霊、怨霊ですね」
「はい」
まさにとだ、速水は答えた。
「この世で一番恐ろしいものの一つです」
「怨霊は」
「ですから怨まれることはです」
「避けるべきですか」
「何か悪事をしたことをその人に見られて」
そしてというのだ。
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