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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十四話 第十三艦隊、誕生
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は黒幕がいた。マイクとオットーだった。
『結婚して旦那は出撃、気がついたら未亡人…なんて事もある。そうなったらエリカちゃんが可哀想だろ』
『マイクの言う通りだ。少将で艦隊司令官なんて、前例の無い人事だからな、もう一つくらい前例の無い事をやってもいいんじゃないか。それに最年少の艦隊司令官は愛妻家、恐妻家、とでも思われていた方がやっかみも減るだろうよ。お前だってエリカちゃんに悪い虫がつく心配がなくなっていいだろう?』
『お前等なあ…』


 艦隊の錬成訓練の相手はクブルスリーの率いる第一艦隊、一万五千隻だ。先日のフォルゲン星域の艦隊戦で受けた損害を復旧し、俺達と同じ様に錬成訓練を行っている。ただ俺達と違うのは、うちの艦隊は一から立ち上げたばかりで艦隊の練度は恐ろしく低いけど彼等はそうではない、という事だ。第一艦隊だって人員の損害は大きかったけど、元の艦隊構成員はまるまる残っている訳だから、新規の補充要員の練度を上げればいいだけで済む。とんでもないハンデだ。
「今のところ、第一艦隊の影はありませんが…彼等はどの様な戦術を採るでしょうか。発言は自由です」
挙手の後発言したのはワイドボーンだった。
「敵…第一艦隊はこちらの二倍の兵力です。単純に兵力を二分して索敵しつつ分進合撃の体制を採るのではないかと考えます。向こうも錬成中ですし、それほど複雑な戦術は採らないかと思われます」
「ふむ…それなら分進したどちらかが我々と会敵しても、残りのもう一方が来援するまで耐えればいい。第一艦隊の勝率はかなり高いですね。それに対し、我々の採る方策は?」
「選択肢は多いとは言えません。敵が分進合撃策を採っていた場合、こちらは後退しつつ会敵した相手の漸減を図り、相手の合流までの時間を稼ぎます」
「稼いだ後はどうなりますか?」
「……撤退もやむを得ないかと思われます」
「そうなるでしょうね。我々に援軍はありませんし、こちらが少数なのは向こうにも判っているのですから、我々が後退しても無理に追撃してこないかもしれない。それに…」
俺が口を止めて用意してあったコーヒーセットに手を伸ばすと、代わりにヤンさんが俺と同じ考えを口にした。
「…最悪なのは第一艦隊の残りの兵力が我々の退路を塞ぎに来る事だ。我々と会敵した敵は当然ながら我々と遭遇した事をもう一方に報告する。報告した敵は戦端を開く。報告を受けたもう一方の敵は戦闘中の味方に合流するのではなく、我々の退路を断つ行動を採る。理想的なタイミングであれば前後から挟撃されて我々は殲滅される」
…ヤンさんに言われると、既定路線の様で恐ろしい…それにしてもマイボトルでマイ紅茶を用意しているなんて用意周到ですね…。

 「衆寡敵せず、ですか……ぁ痛っ」
アンドリュー・フォークがまるで他人事の様な感想を口にした。何故かパオラ姐
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