敢闘編
第七十四話 第十三艦隊、誕生
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思いまして」
「新婚旅行」
「え?」
「冗談ですよ。新婚早々ハイネセンで一人にさせるのも可哀想ですし、であれば副官にと思いまして。職場結婚は珍しくもないですし、副官人事は艦隊司令官の専権事項ですし…何か問題でも?」
確かに軍内部でも職場結婚は珍しくはない。だが通常は配属先が同一になる事はない。係累、親族が途絶えるのを避ける為だ。結婚した一方はハイネセンに残るか、出身星系又はそこから近い基地に配属される。これは地球時代からの軍の不文律だった。出撃中に結婚する場合もあるが、作戦終了後か、余裕があればどちらかはその場で離隊を許可される。
「死ぬ時は一緒、って言われたんですよ。妻は実家が実家だし、私として避けたかったんですがね。愛されちゃってますね」
「いち男性としては羨ましい限りですが、職権乱用、と周囲に受けとられるのではないかと…」
「公私共に私を良く知る人間が副官をやる。適材適所ですよ。言わせたい人には言わせておけばいいんです。参謀長が気に病む必要はありませんよ」
「はあ…」
同日10:00
ヤマト・ウィンチェスター
立場が人を変えるというのは本当だな、まさかヤンさんに心配されるとは思わなかった。艦橋に持ち込ませた会議用の円卓にはヤンさん以下の司令部スタッフが勢揃いしていた。
「時間です。さあ訓練開始です……参謀長、現在の配置状況は?」
「哨戒第二配置です」
「上げましょう。全艦戦闘配置」
「了解致しました、…全艦戦闘配置!」
マイクがおいおいと笑っていた。皆も苦笑する中、エリカが質問をぶつけて来た。
「あな…閣下、何故全艦戦闘配置なのですか?小官は艦隊での訓練は初めてでして」
「ああ、そうだったね…少尉、イゼルローン、アムリッツァを同盟が保持している現在、帝国艦隊と遭遇する可能性があるのはどこになるだろう?」
「……アムリッツァ帝国側外縁部、もしくは帝国領域です」
「そうだね。同盟領内に帝国が攻めて来ていた頃とは違う。であれば常に会敵する可能性がある、それに備えての戦闘配置という事だ。それにうちの艦隊は新兵ばかりだ。訓練とはいえ最初から緊張感が必要だ」
「そうなのですね…」
キンスキー少尉…エリカを副官にするにあたって、俺は彼女に条件を出した。本来なら自分の妻を副官にするなど有り得ないからだ。任務中、人前では気安い態度をとらない事。命令がない限り私事を優先しない事……当たり前の事だけど釘は刺しておかなきゃならなかった。何故なら俺を含めスタッフが皆友人かそれに近い存在だからだ。友人同士、親しい先輩後輩、であればあるほど公私を切り分けるのは難しい。
釘を刺すくらいならエリカを副官にしなくてもいいんじゃないか…希望したのはエリカで、俺じゃない。ハイネセンで待っててくれと言ってみたものの、この企みに
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