敢闘編
第七十四話 第十三艦隊、誕生
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ろう…。
『お前さんより先にウィンチェスターが艦隊司令官になるとはね。で、お前さんも准将か、並ばれたな。まあ乾杯』
『追い付きはしましたが追い越す事はありませんから心配しなくていいですよ、キャゼルヌ先輩…それにしても異例です。少将で艦隊司令官、規模は半個艦隊…何か特別な任務でもあるのでしょうか。シトレ校長から何か聞いていませんか』
『何も。想像がつくか?』
『さっぱりです。ウィンチェスターに配置が無いからと言って、それだけの理由で艦隊を新設するとも思えないのですが。ただ…』
『ただ、何だ』
『何というかその、物事の流れが加速されている、物事が起こるべくして起きている、そんな気がしまして』
『物事の流れ?歴史家ヤン・ウェンリーかく語りき、という訳か?』
『そんな大層なものではありませんよ。ただそう感じるのです』
『しかしそう感じる原因があるのだろう?やはり帝国領に進攻した事か?』
『はい。ただの思いつきと言いながらウィンチェスターはその後の事もちゃんと考えていました。そうでなければシトレ校長は自分の作戦案を修正などさせないでしょう。やはりアッシュビーの再来、その二つ名は伊達じゃない。むしろアッシュビー提督よりその才幹は上でしょうね。イゼルローン要塞奪取だけではなく、アムリッツァという地を得た。彼の作戦案によってです。名はシトレ校長ですが実はウィンチェスターです。彼の為人は派手さに欠けるので皆あまり実感していないかもしれませんが、同盟にとって既に生ける英雄ですよ。これから同盟軍は彼の構想の実現手段に過ぎなくなるかも知れない』
『…アッシュビー提督は情報の価値を正しく理解した極めて優秀な戦術家…お前さんのアッシュビー評だったな。確かにアッシュビー提督の功績はすごいが、お前さんの言う通りそれは戦場に限定されていた。730年マフィアも含めて、帝国に対して優勢に戦っていたにも関わらず彼は帝国領を占領まではしなかった。防衛戦という地の利もあったろう。悪い言い方をすればド派手な戦争屋とも言える。お前さんの見立では、ウィンチェスターはそれを越えるというんだな……奴さんが言っていたのは確か、帝国の宗主権を認め我々の自治権を認めさせた上での降伏、だったな。実現すると思うか?』
『どうでしょう。自分で言い出した以上、彼は実現に向けて動くでしょう。今まで誰もそんな事は言い出さなかったし、誰も考えた事はなかった…それが流れが加速していると感じる理由です』
『成程な。だがそうなると話は軍事面に留まらなくなる。政治家の領分だろう?』
『確かにそうですが、政治と戦争は表裏一体ですよ先輩。実力を伴う外交が戦争です。同盟と帝国はお互いを認めていないのですから穏健な外交手段がない。ですから何らかの結果を出す為の舞台を整える為に我々は戦っているんです』
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