暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第3章】SSXの補完、および、後日譚。
 【第5節】キャラ設定3: 冥王イクスヴェリア。
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きませんでした。
 その意味では、(クアットロたちが「SSX」で語っていたとおり)兵器としてはとても中途半端な代物だったのですが、元々が「兵器にしようと意図して造られた存在」ではなかったのですから、それも仕方の無いことでしょう。
 ただ、実験を重ねた結果、『魔導師が死んでも、そのリンカーコアがまだ崩壊を始めていないうちに、素早くその魔導師の体をマリアージュにすれば、そのコアにもまた〈かりそめの命〉が与えられるので、そのマリアージュは或る程度の魔法が使える上に、或る程度の思考判断能力を保持し、普通に言葉を話すこともできる』ということが解りました。
 もちろん、あくまでも「或る程度」であって、決して「生前と同じ水準」が保てる訳ではないのですが……後に、こうしたマリアージュは「部隊長」と呼ばれ、一般の「兵卒」とは区別されるようになります。

 そして、やがて、各地で地域紛争が起きるようになると、国王は早速、イクスヴェリアを実戦に投入しました。
 夜更けを待って、イクスヴェリアを(ひそ)かに反乱軍の陣地の近くにまで連れて行き、例の能力を発動させます。
 すると、たちまち、敵陣の中に設営された野戦病院から〈生ける屍〉たちが(あふ)れ出し、反乱軍の兵士らを無差別に襲い始めました。
 個々のマリアージュは、当時はまだ「それ自体としては」大した戦闘力を持ってはいませんでしたが、それでも、その心理的な効果は絶大でした。「すでに死んだはずの戦友」にいきなり襲いかかられて、咄嗟(とっさ)に正しい行動を取ることのできる兵士など滅多にいません。
 反乱軍は文字どおり一夜にして全滅し、これに気をよくした国王は、さらに「イクスヴェリアの実戦への投入」を続けます。
 国王は次第に、実の娘を「ただの兵器」として扱うようになって行きました。

『一度に大量のマリアージュを造ると、イクスヴェリアはその後、長い眠りに()いてしまう』ということが解ったのは、それからしばらく経った後のことでした。
 必要な「休眠時間」は、当然ながら、造ったマリアージュの「人数」におおむね比例します。
〈操主の鍵〉を彼女の身体(からだ)(じか)()れさせれば、〈休眠期間〉の途中でも叩き起こすこと自体は簡単にできるのですが、決して『それによって、必要な「休眠時間」それ自体が減る』という訳ではないので、彼女の「休眠時間の不足分」はそのまま先送りにされ、次の〈休眠期間〉に「利子をつけて」加算されていきます。
 いつしか、イクスヴェリアは『しばしば眠りの途中で起こされては、また大量のマリアージュを造らされて、それからしばらくは普通に暮らした後、また年単位の眠りに就く』という作業を繰り返すようになっていきました。

 イクスヴェリアが初めて「十年を超える眠り」を経験し、再び目覚
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