【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第3章】SSXの補完、および、後日譚。
【第5節】キャラ設定3: 冥王イクスヴェリア。
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神像もいずれは頭頂まで水没するだろうが、海面上昇はおおよそその辺りで止まり、海水も「上の高台」にまでは届かないはずだ』とのことでした。
それを聞いたフォルクハルトは、祖国から持ち出した財産を使ってその女神像の背後にある高台の土地を購入し、水没した「扉」を完全に塞いだ上で、「広間」に侵入した海水もすべて排水し、さらには、文化遺産保護の名目で高台の上に「巨大な倉庫」のような建物を建てて「小さな社」全体を包み込み、外部からは「地下神殿からの出口」が全く見えない形にします。
その上で、フォルクハルトとマティルダは「冥王専用の、長期休眠用のカプセル」を小型艇から降ろし、例の階段の三番目の踊り場の脇にある「倉庫」を経由して、その奥にある「隠し部屋」にそのカプセルを安置しました。
やがて、全く計算どおりに、イクスヴェリアは一旦、数時間だけ目を覚まします。それは、彼女が長期休眠に入る直前の「お定まりの行動パターン」でした。
そこで、フォルクハルトはイクスヴェリアに、この場所について手早く一連の説明をした上で、さらにこう続けました。
「私の父からもお聞きのとおり、魔導技師たちによると、陛下の休眠期間はまだ300年、ないし400年ほど残っております。おそらくは、あと350年ほどで、陛下は『完全な目覚め』を迎えることとなるでしょう」
【なお、これは新暦で前258年の出来事です。】
「私は、この部屋の扉にも社の扉にも、内側からしか開けられないように細工をしておきます。いずれ、社のすぐ外に直通の通話機を設置いたしますので、『完全な目覚め』を迎えられましたら、失礼ながら御自分の脚であちらの階段を昇り、社の外に出て通話機で御連絡ください。その時には、自分の遠い子孫が、必ずや陛下をお迎えに上がります」
「解りました。今まで、よく仕えてくれましたね。礼を言いますよ」
「もったいない御言葉です」
「それで、あなたたちは、これから一体どうするつもりなのですか?」
「さすがに300年以上もの時間を、ただじっと待ち続ける訳には行きませんが……幸いにも祖国から持ち出した財産には、まだ随分と余裕がありますので、これを元手として……社の周辺の土地を私有地として維持してゆくためにも、私は名前を変えて商人となり、このミッドチルダでそれなりの地位と財産を築きたいと考えております」
そう言って、フォルクハルトは自分なりに考えた偽名をイクスヴェリアに告げます。
「ですから、その時には、この苗字を受け継いだ者が必ずやあなたをお迎えに上がります。どうぞ安心してお休みください」
それを聞くと、イクスヴェリアも安心して、またカプセルの中に戻り、とてもとても長い眠りに就いたのでした。
【や
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