【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第3章】SSXの補完、および、後日譚。
【第2節】事件当時の各人の動向。(後編)
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ほどの人気ぶりでした。
それなのに……新暦32年に16歳で「衝撃のデビュー」を飾り、50年代に入っても、その人気は全く衰えてなどいなかったにもかかわらず……彼女は新暦52年の秋、一連のテロ事件の直後に開催された「デビュー20周年記念コンサート」のラストで「衝撃の引退宣言」をブチかました後、36歳で業界からは「完全に」姿を消してしまいました。
もし生きているのであれば、今年(新暦78年)で62歳になっているはずですが、「公式には」その生死は確認されていません。】
さて、今回は仕事の内容上、「法律的に」執務官の同行が必要でした。
そこで、ファトラ・ヴァドレニエ執務官(29歳、独身女性)がはやてたちに同行することとなります。
はやてとは初対面ですが、聞くところによると、彼女は「聖王教会がらみの案件」の専門家でした。はやてよりも7歳年上で、執務官としては今年で10年目の「中堅どころ」だそうです。
シャマルのレクチャーが終わった後、昼食前に実際に会ってみると、彼女は中肉中背で、やや金に近い薄茶の髪をしていました。表情も豊かで、見るからに活発な女性という印象です。
ファトラは入室するなり、満面の笑顔ではやてに握手を求めて来ました。
「初めまして! フェイトさんの方から、お噂はかねがね伺っておりました」
その手を握り返しながら、はやてもようやく思い出します。
「あ〜。どこかで聞いた名前やと思うたら、フェイトちゃんと同期の!」
「はい。あの年は、たまたまミッドでの合格者が四人しかいなくて、他の二人は男性でしたから、フェイトさんとは特に仲良くさせてもらっています。
アルフさんがカッコ良くて、私も彼女を見てから、慌てて実家の牧場に帰り、病気になっていた子を選んで使い魔にして、補佐官に迎えたぐらいなんですよ。(笑)」
そう言って、ファトラは自分の補佐官をはやてたちに紹介しました。ウェルザは牝牛を素体とした使い魔で、当然のように大柄で豊満な体つきですが、性格の方は随分と控えめな様子です。
さて、ファトラの外見的な特徴は、完全にクレモナ人のものでした。その点を指摘すると、彼女はまた喜んで自分の出自を語り始めます。
「ええ。私の母はカロエスマールの生まれで、血筋の上では純血のクレモナ人です。若いうちに、ミッドからの旅行者だった父と出逢い、恋に落ちてミッドにまでついて来てしまったのだと聞きました。家の中はクレモナ語も普通に飛び交う環境だったので、私もクレモナ語は、いささか『カロエスマール訛り』ではありますが、翻訳機なしで話せます。
一方、父はベルカ系のミッド人なのですが、私は外見も性格も、どうも父とは似ていなくて……父から受け継いだものと言ったら、この魔力と近代ベルカ式の魔法ぐらいのもの
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