第百五話 秋のイベントその二
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「公務員でもでしょ」
「それもそうか」
弟も言われて頷いた。
「そうした仕事もあるよな」
「別にサラリーマンでなくても」
それでもというのだ。
「スーツ着るお仕事はね」
「あるか」
「そうでしょ」
「まあそれでもなんだよ」
弟は姉に言われてこう返した。
「俺はサラリーマンになりたいんだよ」
「そうなのね」
「やっぱり真面目に働くのが一番で」
それでというのだ。
「サラリーマンだってな」
「いいのね」
「そうだろ、姉ちゃんは何になりたいんだよ」
「私?お料理かしら」
かな恵は弟に少し考えてから答えた。
「料理人ね」
「部活料理部だからかよ」
「まだはっきりと決めてないけれど」
それでもというのだ。
「お料理のお仕事に就けたら」
「いいのかよ」
「そうかしら」
「そうかしらって曖昧だな」
「だってはっきり決めてないから」
弟にはっきりしない表情で答えた。
「だからね」
「それでかよ」
「ええ」
こう言うのだった。
「まだね」
「そうなんだな」
「将来のことは」
「じゃあ俺はかなり決めてる方か」
「中三でそれは凄いでしょ」
こう弟に告げた。
「それって」
「そうなんだな」
「私はそう思うわ」
「そうか、まあだからっていって凄くないよな」
「凄いでしょ」
「いや、人生のことなんて誰でも考えるだろ」
明男はかな恵に返した。
「それこそな」
「だから私あまりね」
「けれど料理の仕事出来たらって言っただろ」
「ええ」
今自分で言ったことだからだ、かな恵も否定しなかった。
「それはね」
「そうしたこと考えるおともな」
「将来のこと考えることだっていうの」
「俺だってサラリーマンになりたいって言ったけれどな」
高校は普通科大学は経済学部でというのだ。
「具体的なことはな」
「考えてないのね」
「そうなんだよ」
こう姉に話した。
「どういった会社かなんてな」
「どんなお仕事してるか」
「そこまではな」
「考えてないの」
「ブラックは駄目だよ」
そう言われている会社はというのだ。
「そういうのはな」
「勤務時間長くて福利厚生も碌にとか」
「そういう会社には入りたくないけれどな」
それでもというのだ。
「サラリーマンになりたくて」
「そこから具体的にはなのね」
「全く考えてないんだよ」
「そうなのね」
「俺だってな、姉ちゃんと変わらないよ」
自分より何センチか背の低い姉真横にいる彼女に顔を向けて話した。
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