第百五話 秋のイベントその一
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第百五話 秋のイベント
十月になり衣替えの季節になった、かな恵は自分の冬用の制服を見ながらそのうえでこんなことを言った。
「久し振りに着たけれどまだ暑いかしら」
「何言ってるの、あんた神戸の学校でしょ」
母がその彼女に朝ご飯の時に言ってきた。
「それじゃあね」
「あそこは涼しいから」
「それでね」
冬服でというのだ。
「充分過ぎるわよ」
「そうなのね」
「それでね」
さらに言うのだった。
「今暑いって言ってもすぐによ」
「ここでもなのね」
「そう、大阪でもね」
それこそというのだ。
「寒くなるわよ」
「そうなるのね」
「もうここからね」
「寒くなるだけね」
「そうよ、だからね」
「今のうちだけね」
「そんなこと言えるのはね」
暑いかどうかということをというのだ。
「本当にね」
「そうなのね」
「そう、それで早くご飯食べて」
「学校行けっていうのね」
「後片付けもあるしね」
こちらのこともというのだ。
「じゃあいいわね」
「それじゃあね」
かな恵も頷いた、そうしてだった。
皿の中のフレークに牛乳をたっぷりとかけたそれをスプーンで食べた、それが終わってから歯を磨いてだった。
家を出た、その時に弟も一緒で言ってきた。
「高等部って楽しいか?」
「そうだけれど」
かな恵はその弟に答えた。
「少なくとも商業科はね」
「そうなんだな」
「あんた普通科行くのよね」
かな恵は中学三年の弟に彼の進路のことを尋ねた。
「そうよね」
「ああ、成績も丁度だしな」
「それでなのね」
「普通科行って大学もな」
そちらもというのだ。
「経済学部にな」
「行きたいの」
「就職に有利だしな」
「あんた就職何処にするのよ」
「サラリーマンだよ」
この職業になりたいというのだ。
「スーツ着てデスクに座ってな」
「お仕事したいの」
「だからな」
それでというのだ。
「俺はな」
「普通科に行って大学は経済学部で」
「それでな」
「将来はサラリーマンね」
「そうだよ、俺スーツ着て仕事したいんだよ」
明男は姉に強い声で話した。
「ネクタイ締めてな」
「具体的にどんな会社がいいとかは」
「そこまで考えてないよ」
こう姉に答えた。
「ただサラリーマンになって」
「スーツ着てネクタイ締めて働きたいの」
「そうなんだよ」
「スーツ着るなら」
かな恵は弟にそれならと答えた、一緒に団地の棟を出てそのうえで団地が集まっているその敷地内を歩きながら話した。
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