第百二十五話 品選びその七
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「是非な」
「そうした人にですね」
「なってくれよ」
こう言うのだった。
「そうしたらな」
「いいんですね、そういえば」
咲はその神戸の方から東京校にまで来た話を思い出してマスターに話した。
「働かないでふんぞり返ってばかりで図々しくて恩知らずで思いやりがない」
「そんなのだとどうにもならないだろ」
「もう世の中やだれの為にもです」
「なってないな」
「何でも生きてるだけで」
まさにそれだけでというのだ。
「害にしかならない」
「そんな奴だな」
「そうみたいですね」
「ああ、そういう奴は本当にな」
マスターは咲にまさにと答えた。
「葛でそうならない為にもな」
「ちゃんと勉強することですね」
「人間や世の中のこともな」
「大学でもですね」
「別に大学出なくても学べるけれどな」
こうしたことはというのだ。
「けれど大学って講義もあるにしても」
「世の中のことをですか」
「ふんだんに学べるんだ」
そうした場所だというのだ。
「だから嬢ちゃんも」
「大学に行ったら」
「世の中や人のことをな」
「学ぶことですね」
「ああ」
まさにというのだ。
「それで就職してもな」
「学ぶことですね」
「そうだよ、それで世の中人様の為に」
「なれる立派な人になることですね」
「それで立派な人ってのは」
「普通の人ですか」
「ああ、真面目に働いてちょっと自分の出来る範囲で」
それでというのだ。
「優しい人がな」
「立派な人ですね」
「さっき言った人ふんぞり返ってって言ってたな」
「働かないで図々しくて恩知らずで」
それでとだ、咲も答えた。
「しかも自分がこの世で一番偉いってです」
「思ってたのか」
「そうなんです」
「何が偉いんだってな」
その様にというのだ。
「なるよな」
「普通はそうですよね」
「全然立派じゃないな」
マスターはこうも言った。
「どうせ人を助けることもしないだろ」
「一切。自分だけで」
「そういうのは屑って言ってな」
立派どころかというのだ。
「絶対になったらいけないな」
「そんな人ですね」
「何処の誰か知らないけれどな」
それでもというのだ。
「そうなったらもうな」
「終わりですね」
「人間としてな」
まさにというのだ。
「人間ですらな」
「なくなりますか」
「俺もそうしたレベルの人見て来たけれどな」
「マスターもですか」
「もう誰が何してもな」
それでもというのだ。
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