第四十四話 地絆その五
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手を合わせた、庚はその後で言った。
「戦いが終わってもね」
「こうしてですね」
「皆で集まって」
??に対して答えた。
「年に一度でも」
「お墓参りをしますね」
「そうしましょう。桜塚家は終わったわ」
星史郎の家はというのだ。
「最後の一人だった彼が倒れて」
「そうなっても」
「私達がね」
「仲間、お友達として」
「ずっと覚えていって」
そしてというのだ。
「忘れない様にもしましょう」
「わかりました」
「その時こうして掃除をして花も捧げないとな」
草薙は優しい目と微笑みで話した。
「手も合わせてな」
「そうね。そうすることが人間ね」
「大切だった人にそうすることもな」
颯姫にその目と微笑みで応えた。
「大事だろ」
「ええ、そのことがわかってきたわ」
颯姫は星史郎の墓を見ながら答えた。
「私もね」
「そうか」
「ええ、次第にだけれど」
それでもというのだ。
「そうしたこともね」
「それは何よりだな」
「私も星史郎さんは忘れないわ」
颯姫もと言うのだった。
「絶対に」
「それじゃあな」
「来年も再来年もそれからもずっと」
「こうしてな」
「皆でお墓参りをしましょう」
「そうしような」
「出来ればです」
遊人は少し残念そうに言った、雨はまだ降っていてそれで誰もがそれぞれ傘をさしたまま墓の前にいる。
「お線香もあげたかったですね」
「そうですね」
封真は遊人のその言葉に頷いた。
「雨でなければ」
「はい。ですがこの雨がです」
「星史郎さんの罪を清めてくれるなら」
「それはそれで、です」
「よしとすることですね」
「ここに来る時にお話した様に」
まさにその様にというのだ。
「そう思いましょう」
「そうですね。星史郎さんは少しでもです」
「罪を清めてもらうべきです」
「そうして地獄でも少しでも楽に過ごせて」
封真はさらに言った。
「次に人として生まれたなら」
「もう人を殺さずに生きられる様な」
「そうした人生を歩めればいいですね」
「全くです」
「戦いは殺し合いよ」
庚は星史郎の墓を見たままこの真実を口にした。
「だから私達はね」
「どうしてもですね」
「誰かを殺すかも知れないわ」
世界を賭けた戦いの中でというのだ。
「そして殺されるかも知れないわ」
「まさに殺し合いですね」
「そうよ、けれどね」
それでもというのだ。
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