第四十四話 地絆その三
[8]前話 [2]次話
「だが俺達と一緒にいてだ」
「日の光も浴びたら」
「違う筈だ、気も上向く」
「そうなるから」
「出てもらおう」
「うん、じゃあね」
「そして皆でな」
神威はさらに言った。
「テニスをな」
「楽しむことね」
「そうしような」
こう話してだった。
神威は今は小鳥と共に昼食を食べた、そうしながら封真に彼の仲間達のことも思うのだった。そうしてだった。
封真はその日仲間達と共に星史郎の墓参りに行った、その時雨だったが。
「丁度いいか」
「そうですね」
??は上を向いて言った草薙に応えた、皆それぞれ傘をさしている。
「お墓参りには」
「普通は晴れに行くけれどな」
「雨の日に行ってもですね」
「それはそれでな」
「相応しいかも知れないですね」
「雨が清めてくれるか」
草薙は上を見てこうも言った。
「若しかしたらな」
「そうですね」
遊人もやや上を向いて言った。
「星史郎さんの罪を」
「そんな気がするよな」
「ええ、その罪はきっと清めてもです」
「清めきれないか」
「それだけの罪ですが」
それでもというのだ。
「何処かです」
「そんな気もするよな」
「そして実際に少しでも」
遊人は遠い目になってこうも言った。
「あの人の罪が清められれば」
「いいよな」
「そう願います」
こう言うのだった。
「本当に」
「そうね、したくてしたことじゃなかったから」
颯姫はそれならと頷いた。
「尚更ね」
「そう思いますね」
「ええ」
遊人の言葉に頷いた。
「私もね」
「そうですね」
「今は地獄に落ちても」
それでもというのだ。
「地獄の後は」
「また生まれ変われば」
「幸せに。自分が望む様に」
「生きられるのなら」
「それなら少しでも清められる様に」
颯姫もやや上を見た、そして雨とそれが降る雲に覆われた空を見てまた言った。
「雨が降って欲しいわ」
「今はですね」
「少しでもね」
「そうね。償いきれない清められきれない罪だとしても」
庚はやや俯いて述べた。
「少しでもね」
「清められるべきね」
「そう思うわ」
まさにというのだ。
「だからね」
「それでじゃあ」
「この雨は有り難いわ」
「星史郎さんの罪を少しでも清められる」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「少しでもね」
「あの人があちらで幸せになれる様に」
「地獄に落ちるにしても」
それでもというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ