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第四十四話 地絆その二

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「今姫さんのことは俺は思わなかった」
「そうだったの?」
「どうしてだ。何故かな」
「どうしてかしら」
「わからない」
「それ言ったら私も咄嗟にだったわ」
 小鳥も気付いた様な顔になって言った。
「あの人のことがね」
「思い浮かんだか」
「そうだったわ。不思議ね」
「あの人も仲間だな」
「その筈なのに」
「緋炎さん蒼氷さんもいてな」
「そのうえでね。けれど」
「それでもな」
「どうしてかしら」
 小鳥は今度は首を傾げさせた。
「丁様については」
「不思議とな」
「私達とは何かが違っていて」
「仲間に思えないな」
「そうよね」
「何故だろうな」  
 神威は今度はわからないという顔になって言った。
「これは」
「わからないわね」
「ああ、不思議なことだ」
「私達を導いてくれる方で」
「いつもそうしてくれているのにな」
「それでどうしてかしら」
「何故だろうな、たまたまか」
 神威はそれのせいではとここでは考えた。
「それは」
「そうなのね」
「俺達のな」
「そうね、あの人はね」
「紛れもなく俺達の仲間でな」
「導いてくれる人ね」
「そうだ」
 間違いなくというのだ。
「それならだ」
「今みたいになったことは」
「たまたまで」
「気にすることじゃないか、それで封真は」
「明日行くそうだから」
「ならそっとしておこう」
 小鳥に静かな声で述べた。
「今はな」
「そうよね、お兄ちゃんにとっては大切な人だから」
「そうしておこう」
「うん、それで明日私達は」
「テニスだな」
 微笑んで言った。
「皆で学園の中のコートでな」
「それをするのね」
「ああ、そうしてな」
「皆で楽しむのね」
「昴流さんにもだ」
 彼にもというのだ。
「コートにいるだけな」
「いてもらうのね」
「火の光に当たるだけでも違うらしい」
「気持ち的には」
「そう聞いた、だからな」
 それでというのだ。
「昴流さんも誘おう」
「そして昴流さんが頷いてくれたら」
「皆でな」
「コートに出て」
「楽しむんだ」
 テニス、それをというのだ。
「流石に昴流さんはテニスは出来ないだろうが」
「身体は出来てもね」
「気分的にな」
 この問題でというのだ。
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