第一章
[2]次話
いつも出会うから
幼稚園から一緒だった、小学校も中学校も高校も。
大学では同じ学部でゼミもだった、そして就職先も。
川口勇、茶色がかった黒髪をショートにしていてきりっとした目と細面に小さな唇と持つ一七六位の痩せた彼は松田順子薄茶色の髪の毛をおかっぱにしていて小さな顔と切れ長の目とピンクの唇と高い鼻を持つ一六〇位の背で標準のスタイルの彼女に昼休みに言った、二人共スーツ姿であり順子のスカートは膝までである。
「今日も行く店まで一緒かよ」
「そうね」
順子は自分と隣り合わせで立ち食いのうどんを食べている川口に言った。
「ここ美味しくて早いから」
「しかも安いからな」
「今日はここにしようと思ったのよ」
「俺もだよ」
川口はきつねうどんを食べつつ答えた。
「それで食ってたらな」
「私が来たのね」
「全く、昼に飯食ってもな」
「週に二回は同じお店に来るわね」
「全くだよ、会社の食堂でもな」
「八条電化のね」
世界的な企業グループである八条グループの電化製品部門である、こちらで世界屈指のシェアを誇る。
「一緒だしね」
「全く。何でだよ」
川口は若布うどんを食べている順子に問うた。
「俺達いつも一緒になるんだ」
「縁でしょ」
順子は素っ気なく答えた。
「もうこれは」
「縁か」
「それでずっと一緒なのよ」
「幼稚園から今までか」
「部活だってね」
「お互いテニス部でな」
「中学高校はね」
こう言い加えたのだった。
「そうだったし大学でもね」
「サークルまで一緒でな」
「テニスのね」
「テニスまで一緒か、住んでる街も一緒で」
「大阪で」
「勤務先まで一緒だしな」
川口はこちらの話もした。
「都島の営業所だよ」
「そうよね」
「何でこんなに一緒になるんだ」
川口はうどんの薄揚げを食べつつ言った。
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