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子供と猫
第一章

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               子供と猫
 木内辰雄は実家に一家で帰ってきた姉の子安沙都子短い黒髪で大きな目と奇麗なカーブを描いた眉に赤い程よい大きさで一六二位の背でスタイルのいい彼女に言った。辰雄自身は茶髪で細面で小さな鋭い目を持っている。背は一七三程で痩せている。
「真理香ちゃんも一緒だよな」
「当たり前でしょ、うちの人とね」
 沙都子は弟に素っ気なく答えた。
「あの娘はね」
「そうだよな」
「うちの人は挨拶で」
 自分の夫はというのだ。
「いつも来てるでしょ」
「姉ちゃんが実家に帰ったらな」
「あの律儀だから」
「公務員らしいな、そこは」
「そうでしょ、あんたも見習いなさいよ」
「俺も真面目で働いてるだろ」
 弟は姉にこう返した。
「毎日な」
「高校出てからずっとね」
「工場でな、それで姉ちゃんも公務員でな」
「働きながらね」
「真理香ちゃん育ててるな」
「それで今日も連れてきたけれど」
 姉は弟にあらためて話した。
「あの娘のところに行ったわ」
「チャのところにか」
「あの娘和室にいたから」
 それでというのだ。
「そっちに行ったわ」
「そうなんだな」
「見て来る?」
 弟にコーヒーを煎れながら話した、自分の分も煎れている。
「それなら」
「コーヒー飲んでからな」
「それじゃあね。お菓子あるから」
 こう言ってカステラを出した、それでそこにきた眼鏡をかけて七三分けにした一七〇位の背で痩せた大人しそうな外見の沙都子の夫智一と一緒にコーヒーとそちらを楽しみながら世間話に興じた。その後で。
 和室に行くとだ、沙都子をそのまま五歳児にした様な外見の娘が雌の白猫と遊んでいた。猫じゃらしを出してだった。
 猫の目の前で振る、そして猫が飛びつくのを見て笑っていた。
「ほらチャこっちだよ」
「ニャア」
「今日も遊んでるな、一緒に」 
 辰雄はそんな彼女達を見つつ微笑んで言った。
「真理香ちゃん本当に猫好きだな」
「あっ、お兄ちゃん」
 少女は彼の声を受けて彼を見て言った。
「おじゃましてるね」
「うん、それでチャとなんだ」
「遊んでるの。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんとお兄ちゃんのお家に来たら」 
 真理香は自分の母の実家をこう呼んでいるのだ。
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