第一章
[2]次話
元最強とは思えない
猪場力はかつては最強レスラーとして知られていた、まさに向かうところ敵なしの強さを誇っていた。
二メートル一三〇キロを超える巨体にいかつい顔立ち、そして様々な技を凄まじい力とスピードで繰り出していた。だが。
今の彼を見てだ、高校で柔道をしている百瀬巧黒髪を短くしていて丸い顔に小さな目と団子鼻を持つ一八〇位の背でがっしりした体格の彼は言った。
「確かに今もでかいけれど」
「そんなにか」
「強いとは思えないんだよな」
同じ柔道部の部員に話した。
「猪場さん見てもな」
「今はうちの学校の用務員さんでもな」
「ああ、七十過ぎてるせいかな」
年齢のことがあってというのだ。
「顔は怖いけれどいい人だしな」
「優しいよな」
「穏やかでな、だからな」
それでというのだ。
「大きくて迫力はあってもな」
「無敵だったって位にはか」
「見えないな、オーラがないんだよ」
今の彼はというのだ。
「活躍してたのは昭和の頃だろ」
「平成もだよ、けれど引退されたのは確かだしな」
「だったらな、俺達なんて千切って投げそうでも」
今もそうだがというのだ。
「世界最強って言われた位にはな」
「思えないな」
「ああ、それよりもな」
百瀬は友人に顔を顰めさせて話した。
「平穏だよ」
「剣道部の顧問のあいつか」
「旗から見て滅茶苦茶だろ」
「剣道部の部員いつも虐待してるな」
「背負い投げなんて床の上でやるとか絶対に駄目だろ」
柔道部員として言った。
「それはな」
「柔道の技は畳の上でしないとな」
「さもないと危ないからな」
「下手したら死ぬしな」
「他にも防具の上からでも竹刀で百発殴ったり延々と殴って蹴ってな」
「シャベル突きなんてリンチ技浴びせてな」
「何かあったら殴る蹴るで」
即ち暴力行為の常習犯でというのだ。
「部員竹刀蹴飛ばして他の部活の前に連れ出して馬乗りになったり」
「罵倒も酷いしな」
「あいつ誰か何とかして欲しいな」
「いつも威張り散らして怒鳴りまくってるしな」
学校の教師について話した、百瀬は今の猪場にはかつてのものを感じていなかったがその教師にはこの上ない嫌悪を感じていた。
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