第二章
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「成績上がってな」
「よくなるか」
「そうなるのね」
「そうだよ、頭がいいか悪いかってな」
その定義はというのだ。
「学校の成績のこと言うだろ」
「おおむねな」
「そうよね」
「それで学校の成績は」
つまり勉強はというのだ。
「誰でもやればやる程な」
「よくなる」
「そうしたものなのね」
「その人それぞれに合った勉強法はあるさ」
それはというのだ。
「やっぱりな、けれどな」
「勉強すればか」
「誰でもなの」
「特別知能指数なりが低くないなら」
それならというのだ。
「なれるんだよ、それであいつはな」
「知能指数は低くない」
「そういえばそうだったかしら」
「あいつは普通にな」
それこそというのだ。
「知能指数悪くない様だからな」
「勉強すればか」
「もっと早く三曹になって」
「学校の勉強もか」
「出来たのね」
「そうだよ」
両親にその通りだと答えた。
「まあ合格したからよかったけれどな」
「これであいつは定年までな」
「その時まで自衛隊にいられるわね」
「まだ結婚もしていないが」
「それもこれからね」
「やっとだよ、しかし人間としては」
ここで弟のこのことを話した。
「かなりな」
「馬鹿か」
「あの子はそうなのね」
「そうだよな」
こう言うのだった。
「それは否定出来ないな」
「昔から怠け者でな」
「それで偉そうに言ってね」
「何かあるとすぐにさぼる」
「言われてもしれってしてるし」
「自衛隊でもそうでな」
「評判悪いみたいだし」
両親もそれはと応えた。
「お勉強が出来ないことは兎も角として」
「人間としてな」
「頭が悪いわね」
「そうだな」
「それは俺もどうしようもないと思うよ」
兄も言った、そうしてだった。
一応彼の昇進は祝った、だがその頭の悪さには何も言わなかった。勉強はどうかなってもそれはどうにもならないと思っていたからこそ。
そして彼が不始末をするとだ、友一は両親に言った。
「自分で気付かなくて学ばないとな」
「馬鹿はなおらないか」
「そちらのことはそうなのね」
「そうだよ、気付かないことも馬鹿だけれどな」
こう言うのだった、そして彼は本当に馬鹿だとその都度思うのだった。
勉強すればよくなる 完
2023・11・20
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