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八条学園騒動記
第七百二十五話 ライオンの昼寝その八

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「そしてです」
「焼いてくれるか」
「その様に」
 微笑んでの言葉だった。
「させて頂きます」
「では頼む。それで君の分もだ」
「作って宜しいでしょうか」
「構わない」 
 いいという返事だった。
「それならな」
「そうですか」
「共にだ」
 二人でというのだ。
「食べよう」
「そうして宜しいでしょうか」
「二人だけだしだ」
 今いるのはというのだ。
「別々の料理を作って食べることもな」
「そのこともですか」
「面倒だ」
「我々のスタイルは」
 上等兵はエウロパのそれの話をした、士官と下士官及び兵士即ち貴族と平民では食事が違うということをだ。
「連合ではですね」
「絶対にないからな」
「共に同じ場所で同じものを食べる」
「どんな場所でもな」
 貴族、士官用の食堂と平民、下士官と兵士用の食堂もないのだ。
「同じだからな」
「それで、ですね」
「これまで通りだ」
 連合に潜入して以来のことだがというのだ。
「共にだ」
「食べていけばいいですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「それでいいのだ」
「左様ですか」
「マトンをな」
「食べますか」
「そうする、しかしな」
「しかし?」
「連合でも特別な食事を摂る立場である者もいるな」
 こうも言うのだった。
「君主は流石にな」
「専門的に作られたものをですね」
「いつも食べている」
「流石に君主は違いますね」
「日本の天皇もな」
 自分達が今いる国の国家元首もというのだ。
「大統領や閣僚は別にだ」
「特別なものを食べずともいいですね」
「コンビニで買ったものを食べてもな」
 事実それで済ませることも多い。
「そうしてもな」
「構いませんね」
「そうだ、しかしな」
 それでもというのだ。
「君主になるとな」
「そうはいかず」
「天皇ひいては日本の皇室の者はな」
「特別に作られた食事をですか」
「いつも口にしている」
「そこはエウロパと同じですね」
「だがその食事はな」
 日本の天皇陛下ひいては皇室の方々のそれはというと。
「お世辞にもだ」
「贅沢ではないですね」
「世界で最も資産のある君主家と言っていい」
 日本の皇室はというのだ。
「何度も言うがな」
「歴史もあって」
「国宝級のものなぞ星の数程だ」
 それこそというのだ。
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