第四十四話 狐狸その十一
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「影まではで」
「ちょっとしたことでだね」
「尻尾出ますから」
「ううん、これはまずいな」
「面倒臭いから二人一度にやってまえっていうのは」
中里も言って来た。
「流石にどうかですし」
「それで見分けたのね」
「日本の狐や狸は化けるのが得意で」
「神霊のおいら達もだよ」
「それで一見見分けつかへんですが」
「よく見たらわかるんだよね」
「影が違っていて」
そこは本来の狐や狸の姿でというのだ。
「ほんまにちょっとしたことで」
「尻尾が出るね」
「それでわかります」
「努力してるんだよ、これでも」
ごんぎつねは本来の姿にどろんと戻って言った、煙が出てその中で元の姿に戻ってそのうえで言うのだった。
「尻尾を出さない様にね」
「それでも癖なので」
「わかるんだね、ばれたら仕方ないよ」
ごんぎつねは開き直ったかの様に言った。
「堂々と戦おうか」
「化かさずに」
「これからはね」
「いや、イケメンが二人になったって喜んでいたら」
化けられたアレンカールは笑って言った。
「それがちゃいましたね」
「自分でイケメンって言う?」
「あきません?」
「いや、そうした考え嫌いじゃないよ」
ごんぎつねは腕を組んで余裕の顔で述べた、
「ユーモアがあってね」
「そうですか」
「ユーモアは忘れないでね」
絶対にというのだ。
「どんな時でもね」
「ユーモアがあったら」
「そこに余裕が出来て」
心のそれがというのだ。
「その分助かるからね」
「そやからですね」
「それは持ってね、じゃあ元の姿でやらせてもらうよ」
栗を齧ってからだった。
ごんぎつねは戦った、一行もそれを受けて応戦し彼を倒し他の狐狸の神霊達も倒していってそうしてだった。
最後にかちかち山の狸を倒した、すると狸は笑って言った。
「さあ、おうどんに天かす入れて」
「たぬきうどんにしてですか」
「食べようか」
こうシェリルに応えた。
「言った通りに」
「天かすを入れるとたぬきですね」
「ハイカラじゃなくてな」
それでというのだ。
「そうだよ」
「そうなんですね、やっぱり」
「わしが思うにはな」
「こっちの世界の甲斐やと」
「おいらはそっちの狸でな」
それでというのだ。
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