第四十四話 狐狸その十
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「おいらずっと思ってるんだけれどな」
「たぬきうどんたぬきそばはあれだろ」
今度はかちかち山の狸一行が詳しく話した彼が言ってきた。
「天かすを入れた」
「あれだよね」
「そうだと思うけれどな」
「けれど中にはね」
「あれをはいからと言って」
「きつねそばたぬきうどんはないってね」
「言うな、例えば織田作之助さんなんか」
かちかち山の狸はこの神霊の話をした。
「そう言うしね」
「あの人とか司馬遼太郎さんはね」
「あっちの神霊さんはな」
「そうなんだよね」
「うち等もです」
綾乃も言ってきた。
「きつねそばたぬきうどんはなくて」
「あれか、ハイカラか」
「天かすを入れますと」
かちかち山の狸に答えた。
「そうなります」
「そうなんだな、わしはな」
「揚げが入ったお蕎麦はですね」
「きつねそばでな」
「天かすが入るとですね」
「たぬきうどんたぬきそばだよ」
それになるというのだ。
「やっぱりな」
「そうですか」
「そこはな」
何と言ってもというのだ。
「それぞれの違いだな、じゃあ戦なんてさっさと終わらせて」
「そしてですか」
「わしは天かすを入れたたぬきうどんを食うぞ」
「そっちですか」
「ほうとうも食いたいが」
それと共にというのだ。
「この度はな」
「たぬきうどんですか」
「それを食うぞ、じゃあはじめるか」
こう言ってだった。
戦に入った、彼等は術を使うだけでなく。
それぞれの力を効果的に使って来た、特に変身し一行のうちの一人に化けて惑わせてくることもしてきたが。
「冷静に見るんや」
「ああ、化けられてもな」
施は羅の言葉に自分の目の前にいる二人のアレンカールを見て話した。
「冷静に見たらな」
「わかるわ」
「影を見れば」
施は二人のアレンカールの影を見比べて言った。
「わかるわ」
「そや、化けて姿を変えてもな」
「影でわかる」
「狐の影やないか」
メルヴィルは左のアレンカールを見て指摘した。
「そっちのアレンカールは」
「ということはな」
トウェインもそのアレンカールを見て言った。
「そっちは偽物や」
「いや、わかる?」
そのアレンカールがぎょっとした顔で言ってきた。
「完璧に化けたつもりだけれど」
「そこで尻尾出ましたで」
メルヴィルはごんぎつねに笑って応えた。
「はっきりと」
「しまった、驚いたらね」
「尻尾出ますね」
「おいら達の悪い癖だよ」
「確かによお化けてますけど」
トウェインもごんぎつねに言う。
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