第百四話 過ごしやすくなってその八
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「僕はいけるよ」
「そうなの」
「熟しきっていないなら」
「もう食べたらお汁出る」
「そうしたのでないと」
「私ちょっと柔らかくなったら」
それならというのだ。
「柿はね」
「駄目なんだ」
「食べられても」
それでもというのだ。
「美味しくはね」
「感じないんだ」
「そうなの」
そうなるというのだ。
「どうもね」
「そこは好みだね」
「私のね。梨とか葡萄なら柔らかくても」
それでもというのだ。
「いいけれど」
「柿は固くないと駄目だね」
「それで渋くないね」
「頃合いが難しいね」
「自分でも思うわ、けれどそうした柿を食べられるなら」
それならというのだ。
「それで幸せよ」
「そうなるんだね」
「好きなものを食べられたら」
「それで幸せだね」
「そうでしょ、好きなものを食べられたら」
それが出来ればというのだ。
「もうね」
「それで幸せだね、それはね」
古田もここまで聞いて頷いて述べた。
「僕もね」
「同じね」
「僕果物は秋だと梨だね」
「それ好きなの」
「秋じゃなくても無花果とかネーブルも好きで」
こうしたものもというのだ。
「さくらんぼもね」
「あっ、さくらんぼ私も好きよ」
「そうなんだ」
「あちらもね」
「さくらんぼも美味しいよね」
「そうよね、それでネーブルもなのね」
古田がこの果物も好きだと聞いて言うのだった。
「ネーブルもいいわよね」
「美味しいよね」
「私柑橘系だと蜜柑が一番だけれど」
「ネーブルもなんだ」
「オレンジも好きだし」
こちらもというのだ。
「グレープフルーツもね」
「好きなんだ」
「そうなの、ただ一番好きな果物は何かって聞かれたら」
「柿かな」
「やっぱりね」
この果物になるというのだ。
「もう果物の王様よ」
「そう言うまで好きなんだ」
「そうなの、種があっても」
富有柿でなくともというのだ、柿といってもそれぞれで種があるものもないものも存在しているのだ。
「私好きよ」
「最近お店で種のある柿少ないね」
「やっぱり面倒だからね」
「種があったら」
「果物には付きものでも」
種の存在はというのだ。
「けれどね」
「最近はね」
「お店で売ってるのは」
そうした柿はというのだ。
「やっぱりね」
「種がない方が食べやすいから」
「少ないわね、けれど柿なら」
理虹は確かな声で言った。
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