暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第179話:一筋の涙
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マイペースな颯人に、カリオストロは考える事を止めて素直にドーナツを取り出した。どの道計画に関しては先程ウィズと話した事が殆どだ。祭壇設置と本格的な儀式の為に生贄が必要と言う事はまだ知らせていないが。

「それで? 聞きたい事って?」

 颯人からの差し入れのドーナツを齧りながらカリオストロが口を開くと、颯人は口の周りの砂糖を落としながら訊ねた。

「あんた、俺の父さんの事どこまで知ってる?」
「は?」
「サンジェルマンさんは俺の父さんの事を知ってる感じだった。その人と付き合いの長い、あんたも父さんについて何か知ってるんじゃないかと思ってね」

 どうだ? と視線で問うと、カリオストロは暫く黙ってドーナツを食べているだけで答えはしなかった。同じく黙って颯人がカリオストロを見ていると、彼女は徐に視線を彼に向けてきた。その瞬間ドーナツを咀嚼していた口の動きが止まる。

 沈黙が周囲を包む中、颯人はカリオストロが求めるものを察し小さく肩を竦めると魔法で缶コーヒーを取り出し蓋を開けて手渡した。カリオストロはそれを笑顔で受け取ると、ブラックのコーヒーでドーナツを流し込んでから答えた。

「分かってるじゃない」
「図々しいって言われない?」
「人の部屋のベッドの上で寛ぐあんたに言われたくないわ」
「で? 結局どうなの?」

 改めて颯人はカリオストロに問うた。正直、ここまで要望に従ってやったのだから何も情報を寄越さなかったら仕返しに何してやろうかとすら考えていたが、予想に反して彼女はあっさりと口を開いてくれた。

「そうね……えぇ、知ってるわ。あんたの父親の事も、そして母親の事もね」

 そうしてカリオストロの口から語られた己の両親の過去。それを聞いて颯人は、驚き以上に確信を得た様に頷きベッドの上に仰向けに倒れ込んだ。

「はぁ〜ん……やっぱ、そういう事な訳ね」
「あら意外ね? もうちょっと驚くと思ったけど?」
「十分驚いてるよ。ま、それ以上に納得もしてる訳だけどさ。ったくよぉ……」

 小さな愚痴と共に起き上がった颯人は、立ち上がると紙袋を片付け独房を後にしようとした。が、何かを思い出したかのように振り返るともう一つ気になっていた事を訊ねる。

「あ、そうそう、これも聞こうと思ってたんだ」
「何を?」
「あんたさ、透の事を意図的に狙ったみたいな事言ったらしいけど、それどういう意味?」

 先の戦いでカリオストロは1人で挑んだ透に対し、明らかに彼を何かに利用しようとしている事を口にした。それは戦った透本人から聞いた話であり、クリスも何やら品定めしているようなカリオストロの様子に激昂を隠せず脇腹を容赦なく撃ってしまったのだ。

 その時の事を指摘され、思わず調子に乗って迂闊な事を口走った当時の自分をカ
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