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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第179話:一筋の涙
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いわ』
ウィズの指摘に一瞬動揺してしまった事を気にしてか、それ以降カリオストロは彼と目を合わせようとしない。視線の動きで心の内で考えている事を読まれないようにしているのだ。とは言え、気になっていた事は確認できた。
ただ唯一気になる事があるとすれば、彼女の忠誠と言うか信頼が組織の長ではなく同じ幹部である筈のサンジェルマンに向いているだろうと言う事だったが。
「……あの男、相変わらず部下からの信頼が低いのか」
何気なく呟いたウィズの言葉に、今度はカリオストロの方が反応した。
『何アンタ? あーし達の事知ってるの?』
カリオストロからの指摘にウィズの動きが固まった。気付けば弦十郎からの視線も向いている。しかし仮面で顔を隠したウィズの考えている事を伺う事は難しい。動きを止めた事で辛うじて何か動揺する様な事があったのだろう事が伺えるが、逆に言えば分かる事はそれくらいであった。
2人が観察している間にウィズは落ち着きを取り戻したのか、動きを再開させた時にはいつもの雰囲気に戻っていた。
「かのパヴァリア光明結社だ、同じ裏に属する者として知らない訳がない。大体にしてこちとら長い事個人で動いてたんでな。情報収集には余念がない」
『ふぅ〜ん? それだけ?』
「それ以外に何がある。そろそろ行くぞ、風鳴 弦十郎。確認したい事は確認した。これ以上ここに居ても仕方がない」
「ん? あぁ……」
何処か急ぐ様にこの場から離れようとするウィズに弦十郎は内心首を傾げながら彼と共にその場を離れた。
去っていく2人の後ろ姿を強化ガラス越しに見送ったカリオストロは、戻ってきた静寂に背筋を伸ばして椅子から立ち上がりベッドに寝ころぼうとする。何もないこの独房の中で出来る事は、ベッドの上で寝ころびながら逃げ出す為の策を巡らせる事だけであった。
「あ、終わった?」
「んなッ!?」
が、そのベッドの上には先客がいた。一体何時からそこに居たのか、紙袋から取り出したドーナツを齧っている颯人がベッドの上に陣取っていたのだ。我が物顔で寛ぐ彼の姿に、カリオストロは一瞬ウィズ達が去っていった方を見てからもう一度ベッドの上の彼を見た。
「いきなりお邪魔して悪いね? ちょっと個人的に聞いておきたい事あって。あ、これ差し入れね」
そう言って彼はカリオストロに紙袋を差し出した。中には今彼が齧っているのと同じプレーンシュガーのドーナツが入っている。紙袋の中を覗いたカリオストロは、視線を上げて相変わらずベッドの上で寛いでいる颯人を訝し気に見た。
「何のつもり?」
「言ったじゃん、聞いておきたい事があるって。ただで話を聞くのも悪いから、こうしてお土産持って来たんだよ。それとも、お宅ドーナツとか苦手だった?」
飽く迄
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